セックスレスでの離婚
性交が可能であるにもかかわらず、性交を拒絶することは、配偶者に対する協力義務違反(民法第752条)に該当し、抽象的な離婚原因に該当します。判例でも、夫婦間の性交不能・拒否の点について、「夫婦の性生活が婚姻の基本となるべき重要事項である」点から「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法第770条1項5号)に該当するとしています。
新婚当初より夫が妻に対して性関係をもとうとしない場合、そのことで妻が納得できない場合には、離婚が認められる可能性が高いです。
また、①夫が婚姻に際して妻に性交不能を告知せず、またその後も性交不能が続いている場合に、妻からの離婚請求が認められた判例、②夫がポルノ雑誌やポルノビデオにばかり興味を示し、自慰行為に耽り妻との性交渉を拒否した場合にも、離婚が認められた判例があります。
拒否の理由が、①夫から性病をうつされた場合、②夫が暴力的にセックスを迫ってくる場合、③妻が外科手術を受けて体調が十分でないにもかかわらず求められた場合等、妻に対して夫が一方的に身勝手な振る舞いをしたことが原因であれば、拒否することも十分理由があります。
その場合には、夫の離婚請求が否定され、逆に夫のその行為を理由に妻からの離婚請求が認められる可能性が高いです。慰謝料も認められることが多いでしょう。
しかし、正当な理由なく妻が性関係を拒否し続けた場合、夫からの離婚請求・慰謝料請求は認められることになります。
相手がセックスレスを認めなかった場合、セックスレスを証拠で立証しないと離婚も慰謝料も認められません。
ただ、セックスレスは夫婦間の問題ですので、客観的な資料がないことがほとんどです。日記、陳述書、法廷での証言などで立証することになりますが、これだけでは不十分です。
当事務所で扱った案件には、過去にアップしていたブログの記載、相手方からセックスレスを謝罪する手紙などが有力な証拠となったものがあります。
セックスレスを話題にしたメールのやり取り、音声ファイルなども有力です。現時点で有力な証拠がない場合には、有力な証拠を今から取得する必要があります。セックスレスによる離婚・慰謝料請求問題に精通した弁護士に相談した方がよいでしょう。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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