介護を理由に離婚することはできるのか?
夫(妻)が毎日仕事で忙しいような場合、夫(妻)の代わりに義理の両親の介護を行っている方もいらっしゃると思います。
その介護の負担が大きい場合、それが夫婦喧嘩の原因となって婚姻関係が悪化することも多いため、義理の両親の介護が原因で離婚したいと考えることもあるでしょう。
ただ、義理とはいえ父母の介護をしたくないという理由では離婚は認められないと思われる方も多いと思います。
しかし、必ずしも介護を理由にした離婚が認められないわけではありません。
まず、夫婦間で離婚について合意ができている場合は、特に離婚する理由は問題となりませんので、介護が理由であっても当然離婚できます。
次に、離婚協議や離婚調停を経ても相手が離婚に同意しない場合は、離婚訴訟を提起して裁判で離婚を認めてもらう必要があります。
裁判で離婚が認められるためには、民法で定められた離婚原因(民法770条1項)に該当することが必要です。
民法が定める離婚原因のうち、「義理の両親の介護」が該当する可能性があるのは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という離婚原因です。
民法上、子は親を扶養する義務を負っています(民法877条1項)。
ただし、民法の上記規定は、「直系血族」すなわち血のつながりのあることが前提ですので、姻族(結婚によって生じた親族関係)は原則として含まれません。
そのため、義理の両親と養子縁組しているような場合は別ですが、原則として夫(妻)の代わりに義理の両親を介護しなければならない法的義務があるわけではありません。
もちろん、配偶者の代わりに義理の両親を介護している夫(妻)は世の中にたくさんいますので、「義理の両親の介護」が当然に離婚原因となるわけではありません。しかし、介護状況や夫婦間の様々な事情から「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると評価できるような場合であれば、離婚が認められる可能性があります。
そのため、「義理の両親の介護」を理由に裁判で離婚が認められる可能性はあるといえます。
一人で悩まれずに、弁護士にご相談ください。
離婚を考えるほどに介護に悩まれている方は、肉体的・精神的に追い詰められ、一人で悩んでいてもなかなか解決しないことが多いです。
また、弁護士に相談したからといって必ず離婚しなければならないわけではなく、弁護士から離婚した場合の見通し等について説明を受けてから、相手に離婚を求めるかどうかを決めることも可能です。
介護を理由に離婚を考えられている方は、一度当事務所にご相談ください。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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