失敗しないための離婚
結婚が人生を変える一大転機であるように、離婚もまた人生の新たなスタートを切るための重要な決断です。先の見込みがない結婚生活であれば思い切って決断をして離婚という選択をしたほうがより良い結果が得られるものですが、離婚は結婚以上にエネルギーを使うものです。
相手が反対していたり条件面で争っているのならなおさら離婚は大変な作業になります。スムーズに離婚を成立されて新しい人生を歩み出すためにも、離婚に必要なポイントを覚えておきましょう。今回は離婚で失敗しないために覚えておくべき5つのポイントを紹介します。
離婚は一人では決められない
離婚を考えるうえで重要なのは、現在婚姻関係にある相手の同意が必要であることです。自分がどれだけ離婚をしたいと願っていても、相手が同意してくれなければ離婚することはできません。もし相手が合意してくれたとしても条件面で合意ができなければ離婚問題はこじれてしまうことになりますから、まずは相手の離婚に対する意思を確かめる作業が必要になります。
もし相手が離婚に同意していて条件面も大筋で合意してくれるようであれば、離婚を当事者同士の話し合いで進めることも可能です。多少もめることはあっても理性的に対応できるのであれば当事者間で離婚解決を目指して構いません。しかし、離婚を拒否されたり条件面での合意が形成できないのであれば話し合いは長期化する可能性があります。
弁護士は離婚問題解決のエキスパート
もし当事者同士の話し合いで離婚成立が難しいようであれば、第三者を間に挟んで話し合いを行う必要があります。当事者同士の話し合いはこじれてくると感情的なぶつかり合いになってしまうことが多く、長引けば長引くほど合意が遠のいてしまいます。スムーズな離婚を目指すなら、法律のプロである弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士は法律知識に基づいて離婚問題を解決するエキスパートです。面倒な話し合いや手続きはすべて代行してもらえますし、弁護士を間に挟むことによって感情的な対立を避けて話し合うことが可能になります。特に条件面を詰める話し合いはお互いの利害が絡み合って対立しがちですが、弁護士を間に挟めば事務的に話し合いを進めて不毛なぶつかり合いを防止できます。
話し合いで離婚がまとまらない場合は法的な手続きによって離婚を目指すことになりますが、個人で対応するのは非常に困難です。法的な解決を目指す場合はより一層弁護士が重要になってきます。
離婚後の生活設計を立てる
離婚は結婚生活の終了であると同時に、新しい生活のスタートでもあります。離婚を決意するととにかく離婚第一に考えてしまいがちですが、離婚が成立すればこれまでの生活が大きく変わってしまうことを忘れてはいけません。
離婚を目指すのであれば、離婚後の生活設計について考えることが大切です。共働きで夫婦共に働いていれば経済的な心配は少ないですが離婚すれば世帯としての経済力は低下してしまいますし、専業主婦の方は生活の糧を失ってしまうことになります。
離婚はゴールではありません。離婚後の生活のことを考えておかないといきなり路頭に迷ってしまう羽目にもなりかねません。離婚後の仕事や住まい、サポートなど必要なことはきちんと準備しておくことが求められます。
子供のことを第一に
離婚は夫婦の合意があれば成立しますが、もし二人の間に子供がいるのであれば子供のことを第一に考えなくてはいけません。
もし親権について双方が主張する場合、離婚問題は長引くことを覚悟しましょう。財産とは違い親権は夫婦で分割することができません。相手に親権を取られてしまえば、たとえ面会交流権を設定したとしても今後子供ととのコミュニケーションは大きく制限されてしまいます。法的に争ってでも親権を取りたいのなら、強力な弁護士を雇う必要があります。
親権を取らない場合は、面会交渉権や養育費について取り決めておく必要があります。口約束だけでは効力が弱いので、第三者の立会いの下で書面に合意内容をまとめておくと安心です。
親権についての話し合いがスムーズにまとまったとしても、子供のケアは必要です。夫婦としては満足がいかないパートナーであっても子供からしてみればよき父、よき母であることは珍しくありません。離婚によって親から引き離されてしまう子供が離婚における一番の被害者でもありますから、子供が不安にならないよう精神的なケアをしっかりしていくことが大切です。
お金の扱いは明確にしておく
お金がすべてではないとはいえ、お金が無ければ生きていけないのが現実です。離婚に際して決めなければいけないお金の問題は多いですから、後になってもめることの無いように扱いを明確にしておきましょう。
離婚に絡むお金としては慰謝料、財産分与、養育費、婚姻費用、年金などが挙げられます。それぞれ扱いについてはルールがありますが、夫婦間で合意が形成されたのならそちらが優先されます。慰謝料が支払われるべき離婚案件でも、とにかくスピード解決を目指すためにあえて慰謝料を請求しないようなケースもあります。
お金は一番トラブルになりやすいので、合意内容に関しては書面にして双方が保管しておきましょう。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
【アクセスマップ】