定年退職を機に離婚を進めるべきかどうか?
定年退職後も再雇用や再就職で働き続ける方は多いと思いますが、その場合、定年退職前と比べて収入が激減することも多いです。
また、婚姻中専業主婦だった方やアルバイト・パートで働いていた方は、離婚時にある程度年齢を重ねていると離婚後の再就職や正社員への転職が非常に困難になるケースがあります。
そのため、定年退職を機に離婚を検討されている方は、離婚時に分配した財産や離婚後の収入等により離婚後に十分生活していけるかどうかを検討しなければなりません。
現在の家族構成・仕事・日常生活と、離婚後の家族構成・仕事・日常生活との違いを検討した上で、収入がどれだけ変わるのか、生活費がどれだけ変わるのかを考えましょう。
具体的には、離婚後に働いて得られる予定の収入のほか、「年金分割」によって得られる(又は減る)年金収入や「財産分与」として離婚時に得られる(又は相手に渡す必要のある)財産等も考慮に入れて、離婚後の生活を具体的にイメージする必要があります。
離婚した夫婦は年金分割という制度を利用することができます。
これは、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。
定年退職前後の夫婦であれば、婚姻期間が長期に渡っていることも多いですので、年金分割の制度を利用することによって離婚後に取得できる年金額が大幅に変わる可能性があります。
そのため、定年退職前後で離婚を検討している方は、年金分割についても必ず検討する必要があります。
また、離婚後に単独で年金分割の手続きを行えるようにするために、公正証書や調停調書等での合意が必要な事案もありますので、合意方法も検討する必要があります。
夫婦の一方又は双方の定年退職前後で離婚する場合、離婚後の勤労収入や年金収入だけでは生活していくのが難しい方も多いと思います。
そのため、「財産分与」として離婚時にどれくらいの財産を取得できるのかという点が重要となってきます。
財産分与の見込額を算定するためには、不動産・預貯金・退職金等の夫婦の共有財産をしっかり把握する必要があります。
当事務所ではチェックリストを用意していますので、共有財産の把握漏れを防ぐことが可能です。
また、財産分与額の検討においては、購入資金の一部を夫婦の一方の特有財産から支払った不動産や結婚前から勤めている会社の退職金のように、共有財産となる範囲や財産分与の相当額を算定するために法的知識が必要になるケースも多いです。
法律の専門家のアドバイスが必要です。
離婚後の収入や財産分与の見込み等を検討した上で離婚を決意された場合は、離婚に向けての準備・手続きを進めていくことになります。
離婚の方法には、大きく分けて協議離婚・調停離婚・裁判離婚がありますが、このうち最も多いのが「協議離婚」です。
そのため、離婚を決意した後は、まずは夫婦の間で離婚について協議し、協議離婚を目指す場合が多いです。
当事者間での話し合いによる合意が不可能又は困難であれば、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて「調停離婚」を目指すことになります。
それでも離婚や離婚条件について合意できず、調停が不成立となった場合は、訴訟を提起して「裁判離婚」を目指すことになります。
離婚問題を相談する専門家として、「弁護士」「離婚カウンセラー」「行政書士」などがありますが、このうち、相手方配偶者と協議・調停・訴訟をする際に代理人となれるのは弁護士だけです。
弁護士以外の専門家は法律知識に誤りのある方もおられ、信用性に疑いがあることもあります。
弁護士であれば、協議・調停・訴訟のどの段階でもご相談・ご依頼を受けることができますが、できるだけ早い段階でご相談いただいた方が早期離婚に繋がりやすいので、協議段階(又は協議前)から弁護士にご相談されることをお勧めします。
また、離婚を専門に扱っていない弁護士にも、離婚問題の法律知識に乏しい方がおられます。相談されるなら、離婚専門の弁護士に相談すべきです。
定年退職を機に離婚を検討されている方は、一人で悩まれていても解決しない問題も多いですので、離婚協議への不安を軽減し、離婚までの準備・手順を具体的にイメージするためにも、一度当事務所にご相談ください。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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