経済的DVについて
「経済的DV」とは、配偶者の金銭的な自由を奪い、経済的に追い詰める行為のことです。
経済的DVは「DV」の一例として挙げられることもありますが、「モラハラ」の一例として挙げられることもあります。
夫婦にはお互いに生活を助け合う義務がありますので、それぞれの収入に応じて婚姻生活に必要な生活費(婚姻費用)を分担する義務を負っています。
そのため、配偶者よりも高い収入があるにもかかわらず、その収入に応じた生活費を配偶者に渡さないのであれば、それは経済的DVとなります。
その他にも、小遣い等の相手が自由に使えるお金を渡さない、勝手に相手の預貯金を使う、借金を負わせる等の行為も経済的DVに当たる可能性があります。
夫(妻)の経済的DVにより婚姻費用をもらえていないのであれば、直ちに夫(妻)に婚姻費用を請求すべきです。
実務上、婚姻費用は過去の未払分を当然に請求できるわけではなく、過去に遡って請求できるのは「請求時」以降の未払分と考えられているからです。
「請求時」は、婚姻費用分担調停を申し立てた時点とされることも多いですが、内容証明郵便で相手に婚姻費用を請求した時点とされることもあります。
婚姻費用を請求しても相手が協議に応じない場合や、夫婦間で協議しても婚姻費用の金額について合意できない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てる必要があります。
その場合、調停での協議を経て、調停での合意又は裁判所の審判で婚姻費用の金額が決まります。
なお、婚姻費用は別居後だけでなく同居中も請求することができますが、同居中は夫婦の家計が一つとなっていることが多いため、別居と同時又は別居後に婚姻費用を請求する場合が多いです。
夫(妻)の経済的DVが原因で離婚を決意される方もいらっしゃると思います。
裁判で離婚が認められるためには離婚原因が必要ですが、経済的DVは「配偶者から悪意の遺棄をされたとき」や「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という離婚原因に該当する可能性があります。
経済的DVを理由に離婚が認められるためには、婚姻関係が完全に破綻していると評価できるほどの経済的DVを立証する必要がありますので、可能であれば、生活費をもらえなくなった時期や期間が分かる録音や預貯金通帳等の経済的DVの証拠を収集しておいた方が望ましいといえます。
但し、経済的DVが立証できない場合でも、長期の別居等の他の離婚原因を立証できれば裁判で離婚は認められますので、早期離婚を目的とするのであれば、証拠収集に時間をかけるよりも早期別居を検討された方がいいでしょう。
経済的DVをしている夫(妻)は、言葉巧みに相手を丸め込もうとしてくる場合も多く、経済的DV夫(妻)にとって有利な離婚条件を強要してくる事案も多いです。
そのような事態を避けるため、経済的DV夫(妻)との離婚をお考えの場合は、弁護士への相談をお勧めします。
弁護士に相談すれば、今後の見通しや適正な離婚条件についてアドバイスが受けられます。
また、弁護士からのアドバイスを聞いた上で、経済的DV夫(妻)と自分で交渉するのが難しいと判断された場合は、弁護士に依頼することで弁護士に交渉を任せることも可能です。
当事務所は経済的DVを含む離婚事件を専門に取り扱っておりますので、経済的DVでお悩みの方は、一度当事務所にご相談ください。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
【アクセスマップ】