退職金見込額の財産分与を一切認めない夫から、退職金見込額のうち270万円を財産分与させて、「養育費10万円20歳まで。年金分割。」という内容で和解離婚した事例
依頼者 妻 豊中市在住
夫 54歳 会社員
妻 45歳 アルバイト
離婚原因 夫の宗教への寄付・責任感のなさ
離婚理由 生活費が足りないにも関わらず、すぐに仕事を休み、生活のための借入金の返済が困難になっても何もしない
きっかけ 夫の弁護士から離婚協議の申し入れがあった
子 2人(訴訟中に1人成人)
財産 不動産 退職金 借入金約720万円
Aさんの夫は、後先のことを考えずに不動産を購入したり、生活費が足りないにも関わらず宗教に寄付するなど、責任感が全くありませんでした。Aさんは夫の承諾の元、借入をするなどして生活を維持してきましたが、いよいよ返済が不可能になってきました。Aさんが夫に借入金返済費用を捻出するよう要求したところ、夫は「借金のことは知らなかった」などと言い出し、マンションを出て行き、婚姻費用を支払わなくなりました。そしてAさんに離婚を要求してきました。驚いたAさんは当方に依頼され、婚姻費用の請求を求めました。
マンションのローンを支払っていることを理由に夫は婚費を月8万円しか支払いませんでした。やむなく当方は婚姻費用分担調停を申立て、長女の大学学費を夫に支払わせました。夫が月8万円の支払に固執したため、調停不成立で審判に移行となり、審判で夫は月額12万2000円を支払うことになりました。
同時並行で夫は離婚調停及び建物明渡訴訟を提起してきました。マンションは夫婦共有財産なので、夫の明渡請求など認められるはずありません。当初から「引越費用を出してくれるなら引っ越してよい。」とAさんは主張していましたので、夫が引越費用を支払うことを条件にAさんは引越し、不動産を売却しました。ただ、売却しても住宅ローンを完済するだけで、手元には何も残りませんでした。
Aさん自身も夫の無責任な態度に呆れ果てていたので離婚は決意していました。ところが夫は「退職金については将来支払われるものだから一切支払わない。」と主張して譲りませんでした。調停も不成立となり、訴訟になっても夫の主張は変わりませんでした。Aさんは離婚訴訟で反訴を提起し、退職金を財産分与するように求めました。1審判決で勝訴したのですが、夫は控訴までして争ってきました。高等裁判所では、「退職金約970万円はまず夫婦の債務の弁済に充てるべきである。夫婦の債務は約720万円あるので、それを弁済すると残金は250万円となる。その半額の125万円が各人の取り分となる。720万円の債務のうち145万円がAさんの債務だから、夫はAさんに270万円を支払うべき。」との和解勧告がなされました。判決の見込みも上記の通りでしたので、上記内容で270万円を受け取り、「養育費10万円20歳までの支払い。年金分割。」を条件として和解離婚しました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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