親権を争い離婚を拒否していたが、親権者を妻とする離婚に応ずることにして、①養育費を月額8.5万円(総額で約1000万円)減額、②財産分与を総額で770万円減額させ、③面会交流を実現して離婚した事例
依頼者 夫 吹田市在住
夫 47歳 会社員
妻 44歳 看護師
離婚原因 夫の言葉の暴力等
きっかけ 妻が離婚訴訟を提起してきた
子ども 17歳 14歳 11歳
財産 不動産・預貯金・生命保険・学資保険・株式・車
Bさんの妻は子どもを連れて実家に帰り、離婚調停を申し立ててきました。 Bさんは妻と離婚したくありませんでしたし、子どもたちと同居を続けたいと考えていましたので、離婚を拒否し離婚調停は不成立となりました。すると妻は離婚訴訟を提起してきました。 Bさんは何とか離婚を回避する方法はないか、子どもたちと面会する方法はないかと考え、また訴訟の遂行は一人では困難と判断し、当方に依頼されました。
弁護士はBさんと相談し、陳述書作成に着手しました。その中で、Bさんが妻に発言した内容のどこがどう間違っていたのかを弁護士がBさんに説明しました。Bさんは、自分の考え方が間違っていたことに気付かれ、妻が離婚を決意するに至った原因を理解されました。そこで、その原因を除去するための方策を考え、それを陳述書に記載し、妻に読んでもらいました。そして、「もう1度やり直すチャンスが欲しい。」と訴えました。しかし、妻の決意は固く、やり直しには応じてくれませんでした。 Bさんは通常の相場より高い婚姻費用を妻子のために支払ってきました。にもかかわらず、妻はBさんに対して、①通常の養育費の他に大学学費・塾代を支払って当然だと主張してきました。また、②不動産について極めて高い査定書を提出し、その半額にあたる金銭を財産分与せよと求めてきました。③学資保険についても、「財産分与の対象にはならないから全て妻に渡せ。」と主張してきました。さらに、Bさんが何度面会交流を求めても、「子どもが会いたがらない。」などと虚偽主張して、Bさんと子どもたちを面会させませんでした。 このような理不尽な妻の主張に呆れ果て、Bさんは離婚に応じることにしました。また、当初は子どもたちのために学費や塾代の一部を負担しようと考えていましたが、妻のあまりの金銭執着に呆れ果て、裁判所が支払うべきと判断する金額以上は支払わないと決心されました。弁護士は信頼性の高い査定書を提出し、妻側の査定書がいかにデタラメであるかを立証しました。また、学費・塾代についても、Bさんが同意していないこと、Bさんに経済的余裕がないことを立証し、「支払義務はない。」と主張しました。また、「学資保険は夫婦の共有財産であって、財産分与の対象となる。」と主張しました。その結果、判決では、①養育費については学費・塾代等は認められず、月16万円という妻側の請求のうち月7.5万円のみが認められ、②不動産については当方の査定がほぼ認められ、③学資保険も財産分与の対象となるとする判決を勝ち取りました。財産分与については妻側主張から総額で約770万円を減額させました。 訴訟中に子どもの1人が「Bさんと暮らしたい。」と発言したため、Bさんは親権についても争いました。しかし、裁判所調査官との面談において、子どもが「Bさんを選ぶと母が悲しむから決められない。」と発言してしまったため、子どもの親権を取ることはできませんでした。 離婚を認める判決が出ましたが、妻は子どもとの面会に消極的で、年に1~2回しか会わせませんでした。そこで、判決が出る前にBさんは月1回の面会を求めて面会交流調停を申し立てました。妻は「子どもが会いたがらない。」などという虚偽主張を繰り返しましたが、調停委員を通じて説得した結果、2回ほど面会交流に応じました。子どもたちと会ってみると、別居後の2年間で子どもたちは急速に大人になっていました。その結果、Bさんは「今後は毎月のように会うのではなく、子どもたちが困ったときに助けてあげるという付き合い方がいいのかもしれない。」と思い始めました。そこで、妻に「子どもたちとの連絡を自由にさせること。子どもらが望めば自由に面会させること。」を認めさせ、面会交流調停を成立させて調停を終了することにしました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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