不貞相手の妻からの200万円の慰謝料請求を130万円まで減額した事例
依頼者 33歳 会社員 箕面市在住
きっかけ 不貞相手の妻から慰謝料を請求する内容証明郵便が届いた
Aさんは過去に既婚者のBと不貞行為を行っていました。また、AさんにはBとの間の子どもがいました。
Bとの交際終了後しばらくして、Bの妻CにAさんとBとの過去の不貞行為が発覚し、その後Cは、Aさんに対し、慰謝料200万円を内容証明郵便で請求してきました。Aさんは、Cと自分で交渉するのは難しいと判断し、当方に依頼されました。
不貞行為の慰謝料は、その不貞行為を理由に離婚に至ったかどうかによって金額に大きな差があり、離婚に至っていない場合の慰謝料の相場は100万円~150万円程度です。
また、AさんとBの不貞行為はCに対する共同不法行為ですので、AさんとBは2人で協力して慰謝料全額をCに支払わなければなりません。
そのため、AさんがCに慰謝料全額を支払った場合、本来Bが負担しなければならない慰謝料もAさんが支払ったことになります。
したがって、その場合、AさんはBに対し、Cに支払った慰謝料の一部を法律上請求することができます(求償請求)。
Cからの内容証明郵便では、「離婚の可能性がある。」旨記載されていましたが、実際に離婚するかどうかは不明でした。
そこで弁護士は、Cが離婚しないことを前提として、「慰謝料の金額は100万円が妥当である。」と主張しました。
また、慰謝料全額をAさんが支払った場合、AさんはBに求償請求することになります。その場合、AさんがCに100万円を支払い、AさんがBにその半額の50万円(Bの負担すべき慰謝料)を請求することになります。
さらにBとCが離婚しないのであれば、夫婦の家計は同一です。
そうすると、結局Cの手元に残るのは50万円(Aさんから取得した100万円-Aさんに支払った50万円)だけです。
そこで、弁護士は「慰謝料の金額を50万円とする代わりに、Bに対する求償権を放棄する。」という示談案を提示し、Cと交渉しました。
これに対し、Cは弁護士に依頼し、慰謝料150万円(求償権放棄なし)という示談案を提示してきました。
Aさんは早期解決を希望しており、早期解決できるなら慰謝料の金額を更に増額してもいいというご意向でしたので、弁護士はAさんの了解を得た上で、「慰謝料100万円、Bに対する求償権を放棄する。」という示談案を提示しました。
これに対し、Cはこの示談案も拒否し、慰謝料150万円で示談できないなら訴訟を提起すると主張してきました。
Aさんは、訴訟をどうしても避けたいというご意向で、訴訟を避けられるなら慰謝料150万円(求償権は放棄しない。)までなら支払ってもいいというお気持ちになっていました。
そこで弁護士は、慰謝料130万円(求償権放棄なし)という示談案を提示し、Cと交渉を続けました。
その結果、Cは、「慰謝料130万円、このうち100万円部分については、Bに対する求償権を放棄する。」という示談案を提示してきました。
訴訟になれば、慰謝料を更に減額し、Bに対する求償権も放棄しないという内容の判決になる可能性も十分ありましたが、Aさんが訴訟をどうしても避けたいという意向でしたので、Aさんのお気持ちを尊重し、最終的に「慰謝料130万円、このうち100万円部分については、Bに対する求償権を放棄する。」という内容で合意しました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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