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不貞行為をしていたモラハラ夫から「不動産所有権を移転するから離婚してほしい。」と主張されたが、「不動産を取得したうえで、財産分与・慰謝料込みで830万円を取得」して調停離婚した事例

解決事例

不貞行為をしていたモラハラ夫から「不動産所有権を移転するから離婚してほしい。」と主張されたが、「不動産を取得したうえで、財産分与・慰謝料込みで830万円を取得」して調停離婚した事例

 

依頼者 妻 豊中市在住
夫 53歳 会社員
妻 52歳 アルバイト
離婚原因 夫の不貞行為 精神的虐待 モラルハラスメント
きっかけ 夫のモラハラに悩んでいたが、夫の不貞行為が発覚した
財産 不動産・預貯金・退職金・持株
子ども 2人(成人)

 

 Hさんはモラハラに悩んでいる最中に夫の不貞の疑いに気付き、相談に来られました。夫はHさんに「離婚しろ。」などと迫っていましたが、夫が不貞行為をしているのであれば、別居期間が7~8年ないと夫からの離婚請求は認められません。そこで弁護士は、不貞行為の証拠を掴むようHさんに伝え、興信所を紹介しました。不貞行為の証拠があれば、離婚を望む夫に対し強気な交渉ができます。
Hさんは、夫の不貞行為の証拠を取得しました。そこで弁護士は夫に「離婚したいのであれば、全財産を開示し、財産分与についてはHさんに大幅に有利な解決案を示せ。」と迫りました。
 ところが夫は、全財産を開示しませんでした。また、婚姻費用も支払わないため、やむを得ず弁護士は婚姻費用分担調停だけを申し立てました。
 当初夫は、過去の婚姻費用は支払わないと主張していましたが、調停委員を介して説得し、過去の分を支払うことに同意させました。他方、夫は子どもに対する仕送り・リース代・携帯代金等を支払っていました。
そこで過去の婚姻費用については月額10万円とし(仕送り・リース代・携帯代金等の支払を考慮)、子どもが大学を卒業する4月からは、年収から算定する適正額である月額15万円で調停成立させました。
 婚姻費用分担調停成立前に夫は離婚調停を申し立ててきました。夫は当初、「退職金を財産分与の対象に含めるとしても、不動産をHさんに移転すれば十分である。」と主張してきました。
 しかし、不貞行為をしていて離婚原因を作ったのは夫ですから、Hさんは本来の財産分与(2分の1ずつ)以上の請求をしました。Hさんは、これまでに相続により遺産を約2000万取得しており、この全額を不動産の一括返済や生活費に充ててきました。この2000万円を全て不動産に費消したとすると、Hさんは財産分与として不動産を取得した上に、夫に670万円を請求でき、さらに慰謝料として300万円請求できる計算となりました。
 そこでHさんは、「不動産所有権移転したうえで、970万円を支払わないのであれば離婚しない。」と夫の離婚要求を突っぱねました。
離婚したい夫は、Hさんの要求に応じる他ありません。しかし夫には手持ちの預貯金がなく、会社からも借金をしており、追加で借りられるのは220万円だけでした。また、夫の会社はリストラを断行しており、退職金が本当に支払われるのか不安なところがありました。離婚を拒否し続けることも可能でしたが、数年後に離婚すると退職金が出ず、財産分与が少なくなるリスクがありました。さらに、Hさんが支払った2000万円(遺産)のうち、不動産に費消したと立証できる証拠は1000万円分しかありませんでした。したがって裁判・判決になると、財産分与は200万以上、婚姻費用は100万円少なくなる可能性がありました。Hさん自身も早く離婚して穏やかな生活をしたいという気持ちも出てきました。
 そこでHさんは、一括払いを求めることをやめ、分割払いでの離婚に応じることにしました。不動産所有権をHさんに移転させたうえで、夫の支払能力の限界である830万円を支払わせることにして、830万円のうち220万円を一括で支払わせ、残り630万円は3年の分割払いさせることで調停離婚しました。

 

 

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弁護士 寺尾浩寺尾 浩(てらお ひろし)

 

平成4年3月 一橋大学法学部卒業

平成9年   司法試験合格(52期)

 

 

 

 

 

 

 

離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。

また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。

 

問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。

 

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