「慰謝料600万円、養育費月額4万円」を夫から要求されたが、有責配偶者である妻が、「慰謝料と養育費を支払わず、かつ、財産分与として夫から800万円を取得する」という内容で調停離婚した事例
依頼者 妻 大阪市内在住
夫 43歳 大学職員
妻 45歳 公務員
離婚原因 妻の不貞行為
きっかけ 夫から離婚調停を申し立てられた
財産 不動産・預貯金・国債・車・退職金
子ども 1人
Aさんは過去にある男性と不貞行為を行ったことがあり、そのことが夫に発覚して別居した後、夫から離婚調停を申し立てられました。
Aさんとしては、離婚及び子どもの親権を夫が取得することについてはやむを得ないと考えていましたが、夫が調停で提示した財産分与額があまりに低かったため、なんとか財産分与額を増額させたいと考え、当方に依頼されました。
夫は当初「Aさんに対し、慰謝料600万円・養育費月額4万円を請求する。不動産は夫が取得し、財産分与としてAさんに765万円支払う。」と主張してきました。
財産分与については、不動産以外の互いの名義の財産の評価額がほぼ同じであり、かつ、夫が不動産を取得することを希望したため、最終的に不動産の財産分与が争点となりました。
不動産の時価から別居時点での残ローン額を差し引いた額が、財産分与における不動産の評価額になります。
Aさんの場合、不動産の査定額が約8780万円、別居時点での残ローン額が約4480万円でしたので、約4300万円(8780万円-4480万円)が不動産の評価額になりました。
不動産の財産分与について、夫は当初「不動産の評価額のうち、約2770万円は夫の特有財産である。そのため、不動産の評価額のうち共有財産となるのは1530万円(4300万円-2770万円)であり、Aさんに対する財産分与額はこの半額の765万円である。」と主張してきました。
しかし、Aさんの記憶では、夫の両親が不動産購入時に購入資金の一部を援助していましたが、それを前提にしても夫の特有財産は約820万円でした。
そこで弁護士は、夫に対し、「不動産の評価額のうち、夫の特有財産は約820万円である。そのため、不動産の評価額のうち共有財産となるのは3480万円である。この半額(約1740万円)を財産分与としてAさんが取得すべき。」と主張し、Aさんに対する財産分与額の増額を求めました。
その結果、夫は「慰謝料と養育費をゼロにし、夫からAさんに対して財産分与として400万円を支払う」という案を提示してきました。
不貞行為が原因で離婚した場合の慰謝料の相場は、(不貞行為を行った配偶者とその不貞相手が支払う合計額が)200万円~300万円程度であり、夫はすでにAさんの不貞相手から慰謝料120万円を回収していました。
そのため、裁判になった場合、Aさんが夫に支払わなければならない慰謝料の金額は、80万円~180万円程度だと考えられました。
また、Aさんと夫の収入状況からすると、Aさんの子が20歳に達するまでにAさんが支払わなければならない養育費総額は約300万円であると考えられました。
そのため、慰謝料ゼロ・養育費ゼロで離婚した場合、Aさんには380万円~480万円程度の経済的メリットがあると考えられました。
しかし、それを前提にしてもAさんに対する財産分与額が低すぎるため、弁護士は夫の案を拒否し、交渉を続けました。
その結果、夫は「慰謝料と養育費をゼロにし、Aさんに対し財産分与として600万円(うち200万円は分割払い)支払う」という案を提示してきました。
裁判で争えば、夫に支払う慰謝料や養育費の金額を差し引いてもAさんが夫から1000万円以上取得できる可能性が高いといえましたが、Aさんは早期解決を希望されており、裁判まではしたくないという意向でした。
そのため、弁護士はAさんの了解を得た上で、最終的に「慰謝料と養育費をゼロにし、夫がAさんに対し財産分与として800万円(うち200万円は分割払い)を支払う」という案を提示して夫にこれを認めさせ、この内容で調停を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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