突然家を出て行き離婚を求めてきた妻が、①養育費17万円、②慰謝料150万円、③財産分与として夫の将来の退職金のうち約620万円を請求してきたのに対し、①養育費13万円、②慰謝料なし、③夫の将来の退職金のうち妻に支払う金額を約230万円に減額する内容で調停離婚した事例
依頼者 夫 吹田市在住
夫 50歳 会社員
妻 45歳 パート
離婚原因 性格の不一致
きっかけ 妻が突然家を出て行き、妻の弁護士から離婚協議の申入れがあった
財産 預貯金・生命保険・学資保険・車・退職金
子ども 2人
Aさんの妻は突然子どもを連れて自宅を出て行き、弁護士に依頼してAさんに離婚を求めてきました。
Aさんは離婚に応じてもよいと考えていましたが、自分で妻の弁護士と交渉するのは難しいと判断し、当方に依頼されました。
Aさんは、妻と別居後一度も子どもに会えていませんでしたので、弁護士は受任後すぐに妻に対して面会交流を求め、早期に1回目の面会交流を実現させました。
その後も、弁護士は妻と交渉し、数回面会交流を実現させました。
しかし、その後Aさんの言動に妻が激怒し、妻は今後の面会交流を拒否してきました。
そのため、弁護士はAさんの了解を得た上で、面会交流調停を申し立てて妻と交渉し、Aさんが最低でも月1回は子どもと面会交流できる内容で面会交流調停を成立させました。
その後、妻は離婚調停を申し立ててきました。
妻は当初、Aさん名義の学資保険を妻が取得することを前提に、①養育費月額17万円、②慰謝料150万円、③財産分与として約752万円を請求してきました。
①養育費について、妻は、別居後に通いだした子どもの塾の費用等を上乗せして月額17万円を請求してきました。
弁護士は「妻はAさんの同意なく別居後子どもを塾に通わせているので、Aさんに子どもの塾の費用の支払義務はない。Aさんには月額17万円の養育費を支払う経済的余力もない。」と主張して交渉し、養育費を月額13万円に減額することを妻に認めさせました。
②妻はAさんの暴言等を理由に慰謝料150万円を請求してきました。
しかし、妻の主張する内容は、裁判で慰謝料請求が認められるようなものではありませんでした。
そこで弁護士は「慰謝料が発生するような暴言等をAさんは行っていないので、慰謝料請求は認められない。」と主張して交渉し、妻に慰謝料請求を諦めさせました。
③財産分与については、Aさんの将来の退職金が争点となりました。
将来の退職金については、別居時に退職したと仮定した場合に支払われる退職金の金額のうち、同居期間に相当する金額のみが財産分与の対象となります(就労開始~結婚までの期間に相当する部分は財産分与の対象となりません)。
Aさんの場合は約800万円(同居期間に相当する金額)が共有財産となり、裁判になった場合、この半額の約400万円を妻に財産分与として支払わなければならないと考えられました。
しかし、妻はAさんの退職金について、同居期間だけでなく就労開始~結婚までの期間に相当する部分についても共有財産に含め、「退職金については約1240万円が財産分与の対象になる。この半額の620万円を妻が取得すべき。」と主張してきました。
そこで弁護士は「退職金について、Aさんの就労開始~結婚までの期間に相当する部分については財産分与の対象とならない。退職金について財産分与の対象となるのは約800万円である。」と主張し、妻にこれを認めさせました。
また、Aさんに退職金が支給されるのは数年後であるため、Aさんの現在の資力では退職金の財産分与として妻に400万円を一括で支払うのは不可能でした。
そこで、弁護士は「退職金の財産分与については、長期分割払いにするか、あるいは妻の取得額を半額の200万円にする内容でないと離婚に応じられない。」と主張して妻と交渉を続けました。
その結果、退職金の財産分与額を約230万円に減額することを妻に認めさせました。
Aさんもこの条件に納得されたので、最終的に、Aさんが退職金の財産分与として妻に約230万円を支払う内容で調停を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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