「慰謝料50万円を月5000円ずつ分割でしか支払えない」と主張していた夫の不貞相手に対し、訴訟を提起して最終的に「慰謝料130万円を一括で支払う」という内容で和解を成立させた事例
依頼者 43歳 自営業 豊中市在住
きっかけ 夫が不貞行為を行っていることを知った
Aさんは、Aさんの夫であるBとCが不貞行為を行っていることを知りました。
Aさんに不貞行為が発覚した後もBとCは不貞行為を繰り返したため、AさんはBと離婚することを決意し、Cに対する慰謝料請求を当方に依頼されました。
不貞行為が原因で離婚した場合、慰謝料の相場は、200万円~300万円程度です。
そこで弁護士は慰謝料として300万円、弁護士費用として30万円(合計330万円)をCに請求しました。
これに対しCは、Bとの不貞行為は認めたものの、「経済的に余裕がないため、慰謝料は長期の分割でしか支払えない。」と主張してきました。
弁護士が「Cの経済的な余力はAさんには無関係なので、慰謝料は一括で支払うべき。どうしても一括での支払が難しいとしても、頭金としてまとまった金額を支払うべき。」と反論しました。
これに対し、Cは「頭金として支払える金額を検討して連絡する。」と回答しました。
その後、AさんはBと離婚しましたが、いつまで待ってもCからの連絡はなく、弁護士がCに架電してもCは電話に出ませんでした。
そこで、弁護士が改めて書面でCに慰謝料を請求したところ、Cは弁護士に依頼し「慰謝料50万円を月5000円ずつ支払う」という案を提示してきました。
それまでのCの交渉態度やCの提示してきた慰謝料の金額からすると、全く反省している様子が窺えなかったため、これ以上示談交渉を続けてもAさんが納得するような慰謝料の金額をCが認める可能性は低いと考えられました。
Aさんも「“①慰謝料として100万円を一括で支払う”という案か、“②慰謝料総額150万円のうち50万円を頭金として支払い、残額を月5万円ずつ分割で支払う”という案が譲歩できる限界であり、Cがこれに応じなければ訴訟を提起する。」という意向でした。
そこで、弁護士は「①②の案のいずれかで合意できなければ、訴訟を提起する。」とCに伝えました。
しかし、Cは「慰謝料100万円を月1万円ずつ分割で支払うのが限界である。」と主張してきました。
そのため、弁護士はCに対して慰謝料請求訴訟を提起しました。
訴訟においても、当初、Cは慰謝料の一括払いや頭金としてまとまった金額を用意することに消極的でした。
そこで、弁護士は、示談交渉におけるCの交渉態度等を説明した上で、「当方が示談交渉で提示した案(①②)以下の金額しかCが提示しないのであれば、和解での解決は不可能。Cが示談交渉における主張を維持するのであれば、訴訟手続きを進めて慰謝料を一括払いで支払う内容の判決を取得する。」と主張し、慰謝料の一括払い(又は頭金としてまとまった金額を支払うこと)をCに要求しました。
その結果、Cは「金融機関からお金を借り入れて慰謝料130万円を一括で支払う」という和解案を提示してきました。
130万円でも慰謝料の相場より低いため、判決になった場合、130万円より高額の慰謝料が認められる可能性が高いといえました。
もっとも、Cにはアルバイト収入しかなかった上、それまでの交渉経過におけるCの態度からすると、判決が出てもCが自発的に判決で認められた金額を支払う可能性は低く、Cの給料や財産への強制執行も難しい状況でした。
弁護士がそのことをAさんに説明したところ、Aさんは「確実に130万円をCから取得することを優先したい」という意向でした。
そこで、最終的に慰謝料130万円で和解を成立させました。
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寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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