精神疾患(産後うつ)のため離婚を求めるようになった妻からの離婚請求を受け入れ、不動産持分を妻に渡し、本人名義住宅ローンを完済し、妻に財産分与200万円を支払わせて離婚した事例
依頼者 夫
夫 41歳 会社員 大阪市在住
妻 41歳 会社員 守口市在住
離婚原因 妻が精神疾患(産後うつ)で凶暴となり、夫を家から出て行かせ離婚を求めてきた
財産 不動産(共有。双方が住宅ローン)・預貯金・生命保険・学資保険・株式
子ども 1人
Aさんの妻Bは、出産後から産後うつとなり、Aさんに暴力を振るったり、ありもしない事実を「あった。」と言い張り、Aさんに暴言を吐くようになりました。Aさんは、心療内科に相談するように妻Bを説得し、病院に同行して診察を受けました。その結果、妻Bは「うつ状態」にあると診断され、薬を服用するように医師から指示されました。ところが妻Bは、「自分は精神病ではない。」と言い出して薬の服用を拒否しました。そして前にも増して暴力・暴言を行うようになり、Aさんに包丁を向けることもありました。Aさんは「薬を服用してうつ状態から抜け出せば、元の優しい妻Bに戻る。」と信じて妻Bの暴力・暴言に耐えました。
しかし、妻Bは、「Aさんから暴行・暴言を受けた。」と妻B両親に伝え、AさんをAB共有マンションから出て行かせました。
そして妻Bは、嘘ばかり記載した離婚調停申立書をAさんに送ってきました。また妻Bは、法外な婚姻費用を要求し、面会交流にも応じませんでした。
途方に暮れたAさんは当事務所に相談に来られました。
弁護士は、「夫婦関係の修復調停と面会交流調停、婚姻費用分担調停を申し立て、面会交流を実現し、適正な婚姻費用にして夫婦関係の修復を行いましょう。」と提案し受任しました。
調停において、面会交流について月1回の面会交流を認めさせ、婚姻費用についても、マンション管理費・固定資産税の半額・駐車料金・保育料を妻B負担とし、妻Bから強要されていた支払を妻B負担とし、婚姻費用減額(月額約10万円の減額)に成功しました。
しかし妻Bは、自らがうつ病であることを認めず、「Aさんが暴力・暴言を行っていた。」という虚偽主張に終始し、心療内科でのカルテも開示せず、夫婦関係の修復には一切応じませんでした。そして離婚調停を不成立で終了させ、離婚訴訟を提起してきました。訴状は、妻Bが暴行・暴言を行っていたのに、「Aさんが暴行・暴言を行っていた。」という虚偽を記載したものでした。
そこで弁護士は、相手方に心療内科のカルテの提出を求めましたが、相手方は拒否しました。弁護士は、文書送付嘱託申立という裁判所を通じて病院のカルテを提出させる手続きをとり、カルテを取り寄せました。そのカルテには「妻BがAさんに対する暴力・暴言を行っていて、妻Bがそれを押さえられない。うつ状態にあって、薬を服用すべき。」と記載されていました。妻Bの嘘が明らかとなったのです。
しかし妻Bは意味不明な言い訳を主張するとともに、財産分与について自己に取り分が多くなるような主張をしてきました。
自らの所有する株式を隠していたり、不動産の査定書も異常に低いものを提出し、「時価よりローンの方が多いから、妻Bが不動産を取得して、Aさんに対する清算金は0にすべきだ。」などと主張したりしました。
弁護士は、妻Bの財産を全て開示させ、妻Bの主張が間違っていることを主張立証し、不動産について適正な査定書を提出し、時価の方がローン残額より約200万円高いことを立証しました。そして「妻Bの主張は虚偽であり、子どもも離婚を望んでいない。Aさんには離婚事由はない。」と立証しました。
ところが、相手方が財産開示を拒否するなどして訴訟が長期化したため、判決が出るころには別居から3年半が経過してしまいました。一般に別居期間が3年以上となると、裁判所は「婚姻関係は破綻している。」とみなし、離婚を認める傾向にあります。
判決で裁判所は、「暴言・暴行を行っていたのは妻Bであり、Aさんには責められるところはない。」と認定してくれました。しかし、「別居から3年半が経過し、妻Bが通院を拒否していて強固に離婚を求めている。」ことから、婚姻関係破綻を認定し、離婚を認めました。そして不動産については、「共有物分割訴訟で決すべきである。」として、判断を下しませんでした。
弁護士はAさんと協議しました。Aさんは、「妻Bが暴行・暴言を行っていてAさんは行っていないことを裁判所が認めてくれた。」ことで判決には一応満足しておられました。また、嘘ばかり主張して治療を拒否し続ける妻Bとやり直すことは難しいと感じていました。また、仮に控訴審で離婚が棄却されたとしても、不動産について共有物分割訴訟を提起するのは時間的にも費用的にも苦しいと考えておられました。
そこで弁護士は、控訴したうえで、「離婚は認める。その代わり、財産分与において相手に譲歩させ、不動産を妻Bに取得させるかわりに、不動産について財産分与金を妻Bに払わせ、Aさんが別居後に支払ってきた住宅ローンを妻Bから回収しましょう。」と提案しました。Aさんが納得してくださったので、弁護士は控訴し、相手方と和解離婚について協議を開始しました。
妻Bも、「離婚はしたいが不動産について共有物分割訴訟を行うのは苦しい。」と考えていたので、和解協議に乗ってきました。①離婚・養育費は判決を維持し、②不動産についてはAさん持分を妻Bに移転し、妻Bがローンを組んでAさん住宅ローンを完済し、財産分与として100万円を支払う。③Aさんが別居後に支払ってきた住宅ローンのうち、100万円を妻BがAさんに支払う。」という和解案で協議を続け、上記和解案で和解離婚しました。
養育費月15万円及び財産分与・未払婚費合計640万円を夫から妻に支払わせる内容で調停離婚した事例
相手方名義の財産開示をさせた上で約2200万円の財産分与金を取得して離婚を成立させた事例
離婚を求めてきた夫と交渉し、離婚後に支払う予定の子どもの学費全額を夫が負担する内容で協議離婚した事例
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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