不貞相手の妻から慰謝料を請求され、不貞相手及びその親族との接触禁止・違約金について合意するよう求められたが、接触禁止の範囲を限定し、違約金条項も入れないことを不貞相手の妻に認めさせて、慰謝料50万円を支払う内容で示談した事例
依頼者 25歳 看護師 箕面市在住
きっかけ 不貞相手の妻が依頼した弁護士から慰謝料を請求された
Aさんは既婚者のBと不貞行為を行っていました。そのことがBの妻であるCに発覚したため、Cが依頼した弁護士から慰謝料を請求されました。
Aさんは、当初Cと自分で交渉し、慰謝料の金額を50万円にすること及びBに対する求償権を放棄することについてはCと概ね合意できていました。
しかし、Cは、Aさんに対し、慰謝料の支払だけでなく今後B・C及びその親族と一切連絡をとらないこと等も合意書に盛り込むことを要求してきたため、当方に相談に来られました。
不貞行為の慰謝料について示談する際、合意書に今後不貞相手と接触しないことを約束する条項を入れることはよくあります。
しかし、接触を禁止される対象がCの提案しているような「Bの親族」というのでは範囲が広すぎますので、親族だとは知らずに偶然会ってしまうことや仕事上接触しなければならない場合等も想定できました。
弁護士がそのことをAさんに説明したところ、Aさんはこのまま自分だけで交渉すると、慰謝料以外の条件についてAさんに不利な内容で合意させられてしまう可能性もあると考え、当方に依頼されました。
弁護士がCに確認したところ、Aさんの言っていたとおり、Cは「①慰謝料の金額50万円、②Bに対する求償権の放棄、③今後B・C及びその親族との接触を禁止する」という内容を提案してきました。
そこで弁護士は、「①②については問題ないが、③については、BとCが離婚するまでの間に限定すべきであるし、禁止の対象は本来Bに限定すべきであって、親族等まで拡大すべきものではない。また、Aさんの仕事上の接触や偶然の接触等は除外すべき。」と反論して、Cと交渉しました。
その結果、Cは「③の案を撤回し、代わりに④接触禁止の対象をBとCの子ども・両親に限定した上で、Aさんの仕事上必要な接触や偶然の接触等は除外し、かつ、禁止期間もB・Cの婚姻期間中に限るという内容であれば示談できる」と提案してきました。
ただ、同時にCは「Aさんが④の約束を破った場合の違約金条項も入れたい」と提案してきました。
Aさんとしては、「④についてはCの提案どおりで構わないし、約束を破るつもりもないが、心情的に違約金条項までは入れたくない」という意向でした。
そこで弁護士は、「接触禁止の対象をBやCの両親にまで広げている時点で十分譲歩しているので、違約金条項までは容認できない。」と反論して交渉を続け、違約金条項を入れないことをCに認めさせました。
そのため、最終的に「①慰謝料50万円、②AさんのBに対する求償権放棄、③Aさんが、BCの婚姻期間中、B・C及びそれぞれの両親・子どもに接触することを禁止する(偶然出会った場合や仕事上の接触等を除く)」という内容で合意しました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
【アクセスマップ】