離婚を拒否していたが、関係修復は困難な状況になったので、「特有財産1000万円を返せ、財産分与は5分5分」でと主張する夫を説得し、「特有財産の返金は500万円で、財産分与は6:4で分ける。」ことを認めさせ財産分与として1500万円を取得した事例
依頼者 妻
夫 37歳 会社員
妻 40歳 アルバイト
離婚原因 夫が出て行き、離婚を求めてきた
きっかけ 夫の弁護士から離婚を求める内容証明郵便が届いた
財産 不動産・預貯金・生命保険・車
子ども なし
「実家に荷物を取りに行く。」と言ってAさんの夫Bは実家に帰り、そのまま帰って来なくなりました。そして夫Bの弁護士から離婚の申入書が届きました。夫Bがどんな理由で離婚したいのかわからず、かつ婚姻生活を続けたいと考えていたAさんは驚き、「離婚せず、夫Bとの関係を修復する」方向での交渉を当方に依頼されました。
弁護士は、Aさんからこれまでの経緯を聞き、「今までの自分の言動を反省し、言動を改めることを約束する手紙」を作成しました。そして、手紙を夫Bに郵送し、「もう一度やり直しのチャンスをもらいたい。」と説得しました。
しかし、夫Bの離婚意思は固く、Aさんとの関係修復を夫Bは拒否し続けました。Aさんは夫Bと離婚したくない気持ちが強く、離婚には応じない意向でした。しかし、Aさんが拒否し続けても、別居期間が3年以上続けば、裁判で離婚が認められる可能性が高くなります。
そこでAさんは、「やり直したい。しかし、どうしても夫Bが離婚したいのであれば、財産分与の取分を7:3にしてほしい。それなら離婚を考える。」と主張し、あくまで関係修復を目指し、どうしてもそれが不可能なら、今後生活するのに十分な財産分与を取得することを目指すことにしました。
夫Bは「離婚はしたいが、7:3は多過ぎる。特有財産として1000万円を預けたからそれは返金せよ。」などと主張し、財産分与として5:5を譲ろうとしませんでした。
そこで弁護士は、「確かに夫Bの特有財産1000万円を預かったが、そのうち500万円は住宅ローンに費消し、住宅に転化しており、不動産時価のうち約160万円になっている。財産分与については、7:3以下には譲歩しない。夫Bとの結婚で当方は退職し、キャリアを失った。」と主張し続けました。
夫Bも主張を曲げず、調停成立は困難かと思われましたが、夫B・Aさん双方が歩み寄り、「Aさんが占有している夫B特有財産は500万円である。財産分与はAさん6、夫B4の割合で分与する。」という調停を成立させることとしました。
預貯金はほとんどAさん名義になっていたので、Aさんが夫Bに約300万円を支払い、Aさんは共有財産として、預貯金1500万円を取得することができました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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