①婚姻費用月額12万円、②養育費月額8万円、③離婚の解決金24万5000円を要求する妻と交渉し、①婚姻費用を月額10万8000円、②養育費を月額6万円、③離婚の解決金を14万5000円に減額することを妻に認めさせて、調停離婚した事例
依頼者 夫
夫 35歳 会社員 摂津市在住
妻 35歳 無職 埼玉県在住
離婚原因 性格の不一致
きっかけ 妻から婚姻費用分担調停を申し立てられた
財産 預貯金
子ども 1人
Aさんは約2年半前から妻Bと別居しており、別居から半年後には妻Bと話合いを行い、離婚について概ね妻Bと合意していました。
ただ、その時点では妻Bが就職していなかったため、Aさんは、妻Bや子どもの離婚後の生活も考慮して、妻Bが就職して経済的に自立するための期間を確保するため、毎月婚姻費用を妻Bに送金しながら、約2年間離婚せずに妻Bが就職するのを待つことにしました。
しかし、妻Bは約束の期限を過ぎても就職せず、それどころかAさんに対して婚姻費用分担調停を申し立ててきました。
このままでは、いつまでも離婚できないと考え、Aさんは当方に依頼されました。
弁護士は、婚姻費用だけでなく離婚についても調停で協議するために、離婚調停を申し立てました。
別居時点でAさんにも妻Bにも共有財産がほとんどありませんでしたので、調停では、財産分与は特に問題になりませんでしたが、妻Bは「①離婚までの婚姻費用として月12万円、②離婚後の養育費として月8万円、③離婚の解決金として24万5000円を支払ってほしい。」と主張してきました。
①婚姻費用については、当事者に潜在的稼働能力(働いて稼ごうと思えば稼げる状態であること)が認められれば、無職であっても潜在的稼働能力に基づく年収を前提に算定されます。
そこで弁護士は、「妻Bは現在無職だが、潜在的稼働能力が認められるので、妻Bの年収が0円であることを前提に算定した婚姻費用月額12万円という金額は認められない。」と反論しました。
ただ、Aさん・妻Bの子どもはまだ幼いため、妻Bがフルタイムで就労できる可能性は低いと考えられましたので、妻Bの潜在的稼働能力としては高くても年収120万円程度になると考えられました。
Aさんも妻Bの潜在的稼働能力を年収120万円とすることに納得されたため、弁護士は「婚姻費用の金額について、妻Bの年収を120万円として算定した月額10万8000円とする内容であれば調停を成立させる用意がある。」と主張して妻Bと交渉し、これを妻Bに認めさせました。
②養育費についても婚姻費用と同様当事者の潜在的稼働能力が考慮されます。
そこで弁護士は、「養育費の金額について、妻Bの年収を120万円として算定した月額6万円とする内容であれば調停を成立させる用意がある。」と主張して妻Bと交渉し、これを妻Bに認めさせました。
③解決金については、本来Aさんに支払義務はありませんでしたが、Aさんも早期解決のためであればある程度の解決金は支払っても構わないという意向でしたので、妻Bと減額交渉し、解決金の金額を14万5000円にすることを妻Bに認めさせました。
Aさんも上記①~③の内容に納得されたため、最終的に婚姻費用月額10万8000円、養育費月額6万円、解決金14万5000円という内容で離婚調停を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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