共有名義の家はどうやって分けるのか?
婚姻後に購入した自宅不動産の中には、夫持分10分の9:妻持分10分の1というように登記されているものや、
夫持分2分の1:妻持分2分の1というように登記されているもの等、夫婦共有名義になっているものがあります。
もっとも、不動産の財産分与においては、それが結婚後の収入により取得した不動産である限り、不動産の名義や持分割合は問題となりません。
そのため、夫婦共有名義の自宅不動産であっても、夫婦の一方の単独名義となっている場合と比べて財産分与の方法が大きく異なるわけではなく、
ⅰ不動産を売却して売却金を分ける方法、又は
ⅱ夫婦の一方が不動産を取得する(居住し続ける)方法のいずれかの方法で財産分与を行うのが通常です。
夫婦共有名義の自宅不動産を売却する場合は、夫婦の一方が単独で売却することができませんので、売却手続きは夫婦で協力して行う必要があります。
この場合の財産分与としては、自宅不動産を夫婦で協力して売却した上で、その売却金(から住宅ローン残金や売却に伴う諸費用を差し引いた残額)を共有財産と考えて、2分の1ずつ夫婦で分けることになります。
なお、自宅不動産の購入資金(頭金や住宅ローンの返済に充てた資金)を全て共有財産から支払っていれば売却金を2分の1ずつ分ければ問題ありませんが、購入資金の一部に夫婦の一方の特有財産が使われている場合は、自宅不動産という財産を形成するために寄与した割合が夫婦で異なる(特有財産を充てた方が財産形成により多くの寄与をしている)ことになります。
そのため、そのような場合は夫婦それぞれが自宅不動産という財産の形成に寄与した割合に応じて、売却金を配分する必要があります。
夫婦の一方が離婚後も自宅不動産に居住し続ける場合の財産分与は、通常、
① 夫婦の一方(A)が離婚後に当該不動産を取得する(居住し続ける)ことを前提に、不動産を取得しなかった方(B)の持分をAに移転する
② 住宅ローンが残っている場合は、別居後(又は離婚後)の住宅ローンをAが返済していく
③ AからBに対して代償金を支払う(不動産の時価よりもローンの方が多いオーバーローンの場合を除く)
という方法で行われます。
自宅不動産の購入資金を全て共有財産から支払っている場合は、当該不動産の時価(住宅ローンが残っている場合は、時価から別居時の残ローン額を差し引いた金額)の2分の1を代償金(上記③)の相当額と考えることになります。
夫婦共有名義となっていることは、代償金の金額を算定する上では重要ではありません。
ただ、自宅不動産の購入資金の一部を夫婦の一方の特有財産から支払っている場合は、AがBに支払うべき代償金の金額が変動します。
この場合、A又はBの特有財産は、自宅不動産という別の財産に形を変えており、かつ、自宅不動産の時価は購入金額よりも下がっていることがほとんどですので、代償金の計算方法が複雑になります。
具体的な代償金の金額は、不動産の購入金額・A又はBが不動産購入資金の原資に充てた特有財産の金額・不動産の時価・残ローン額等を考慮して算定する必要があります。
したがって、離婚問題に精通した弁護士に相談すべきです。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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