長期間別居しているにもかかわらず離婚協議にすら応じない妻に対して離婚調停を申し立て、妻を説得して調停離婚を成立させた事例
依頼者 夫
夫 58歳 会社員 三田市在住
妻 53歳 無職 豊中市在住
離婚原因 別居から5年半経過
きっかけ 定年退職になる年齢が迫ってきた
財産 不動産・預貯金・株式・退職金
子ども 3人
Aさんは、妻Bとの夫婦関係が悪化し、約5年半前から妻Bと別居していました。
また、Aさんが仕事を定年退職になる時期が迫っていましたが、別居後Aさんは給料のほとんどを妻Bに渡していましたので、預貯金がほとんどありませんでした。
また、妻Bが居住している不動産の住宅ローン(Aさん名義)もかなり残っていましたので、このままではAさんの退職金もそのほとんどをAさんが居住できない妻Bの自宅不動産の住宅ローンに充てざるを得なくなり、定年退職後にAさんが生活できなくなるおそれがありました。
そのため、Aさんは妻Bと離婚してきちんと財産分与を取り決めるため、妻Bとの離婚協議を当方に依頼されました。
弁護士は妻Bに連絡し、離婚協議を求めましたが、妻Bが大学生の長女を介しての離婚協議に固執し、自分で離婚協議を行おうとしなかったため、全く離婚協議が進展しませんでした。
そのため、弁護士は家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。
すると、妻Bは、調停に出頭してきましたが、「Aさんが定年退職した後も長女が大学を卒業するまでAさんが住宅ローンを支払い、かつ、退職前と同じ額の生活費を渡してほしい。長女が大学を卒業するまで離婚せず、長女が大学を卒業した後に改めて財産分与等について妻Bに有利な内容になるように離婚協議を行いたい。」などとAさんが到底受け入れられない要求をしてきました。
これに対し、弁護士は「妻Bの要求どおりにすると定年退職後にAさんの生活が破綻することが明らかなので、妻Bの要求は受け入れられない。既に別居から5年半以上が経過しているので、裁判になっても離婚が認められる可能性が極めて高い。そのため、妻Bが理不尽な主張を続けるのであれば、調停不成立後に離婚訴訟を提起することになる。」と反論しました。
ただ、Aさんは、「離婚後も長女のためにできるだけのことはしてあげたい」という意向であり、長女が大学を卒業するまでは妻Bも自宅不動産に住み続けることを認め、長女の養育費として十分な金額も渡そうと考えておられました。
そこで、弁護士は「①長女が大学を卒業するまでは妻Bと長女が自宅不動産に無償で済み続けることを認める。②その間の住宅ローンはAさんが負担した上で、③長女の大学卒業後に当該不動産を売却し、売却金で住宅ローンを完済した後の残金をAさんと妻Bで折半する。④Aさん名義の株式や退職金等の不動産以外の財産については、Aさん名義の財産はAさんが取得し、妻B名義の財産は妻Bが取得する。⑤長女が大学を卒業するまでは、Aさんが20万円の養育費を支払う。」という離婚条件を妻Bに提示した上で、調停での離婚に応じた方が妻Bにとって経済的なメリットがあることを説明し、妻Bと交渉を続けました。
その結果、妻Bは「長女の卒業までの学費の一部を負担してもらえるのであれば、上記①~⑤の内容で離婚に応じる。」と回答してきました。
Aさんも、長女の学費の一部を負担することに納得されたので、最終的に、上記①~⑤に加え、Aさんが長女の学費の一部を負担する内容で調停を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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