有責配偶者である夫からの離婚請求・親権主張に対して強気で交渉し、不動産・車・扶養的財産分与5250万円・養育費3人で月50万円・学費1人あたり年120万円・親権者は妻等を認めさせて協議離婚した事例
依頼者 妻
夫 41歳 会社経営者 東京都
妻 40歳 アルバイト 豊中市
離婚原因 夫の不貞行為
きっかけ 夫からの脅迫めいた離婚要求
財産 預貯金、不動産、自動車、株式
子ども 3人
Aさんの夫は会社経営者で、全国を飛び回っており、東京にも別宅を賃借りしていました。夫には愛人ができ、愛人と同居をしていることが判明しましたが、夫は「もう別れた。離婚しろ。」とAさんを脅迫するような言動を続けました。不貞行為している夫に離婚を強制されるという理不尽な状況に耐えかね、Aさんは当事務所に来られました。
弁護士は、「不貞行為をしていた夫からの離婚請求は別居期間7~8年ないと認められません。こちらが強気に交渉しましょう。」と提案し、ご依頼いただきました。
弁護士はAさんに夫の資産の調査をお願いしました。その結果、夫は自らが経営する会社の株式を所有しており、かつ一部を売却し約1億6000万円の譲渡益があることが判明しました。
そこで弁護士は、「夫は有責配偶者だから離婚請求は認められない。どうしても離婚してほしいなら、①全保有株式の半額、②不動産、③車、及び安心して暮らせるだけの資金、④扶養的財産分与、⑤養育費、⑥学費、⑦慰謝料500万円を支払え。」と要求しました。
どうしても離婚したい夫は、当方の要求についてある程度応じてきました。しかし、手元にある現金がそれほどないことを理由に、①会社に関する資産なので株式については開示できない、②不動産、③自動車、⑦慰謝料については認めるが、④扶養的財産分与は3000万円、⑤養育費については第3子20歳まで月額50万円、⑥学費については1人あたり1500万円まで、⑧親権は夫、⑨面会交流は月4回を求めてきました。
親権については、節税のため子ども名義の株式等があることも理由の1つにしていました。
しかしAさんとしては、夫が養育費等を必ず支払ってくるかどうか確信が持てませんでした。したがって、一時金としてできるだけ多額の金銭が必要でした。そこで弁護士は、「株式の詳細を開示しないのであれば、④扶養的財産分与は6000万円以上にすべき、⑤養育費については第3子20歳まで50万円、第3子20歳から22歳3月まで20万円にすべき、⑥学費については中高私学の場合は1人年120万円、公立の場合は1人年60万円、大学学費は年120万円、⑧親権はAさん、⑨面会交流は月に1~2回とすべき。」と主張しました。
そして、「子ども名義の財産のために、母から子の親権を奪うべきではないこと、Aさんがこれまでどれだけ子どものために努力し続けてきたか。」を詳細に書面にして何度も主張して説得した結果、ようやく夫は親権者をAさんにすることに同意しました。
ただ、扶養的財産分与については借り入れをするにしても3000万円が限度だと主張して譲りませんでした。
そこでAさんと弁護士は協議し、「不動産についてはローンを一括弁済してもらうのではなく、ローンを支払い続けてもらい、ローン完済後に不動産を譲り受ける。そのかわり、扶養的財産分与を6000万円一括払いとする。」という案を提示することにしました。
また、Aさんも子どもと休日を過ごす機会が必要なので、面会交流は月に1~2回が限度と伝えました。
夫は、「不動産ローンを一括払いしなくてよいのであれば、扶養的財産分与を増額してもよいが、5000万円が限度である。それ以外は応じる。」と譲歩してきました。
Aさんは、養育費や学費についての目的が達せられ、生活の目途が立ったので、扶養的財産分与5250万円で協議離婚することにしました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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