「親権を渡せ」と強硬に主張する夫を説得し、依頼者である妻が親権を取得して調停離婚した事例
依頼者 妻
夫 42歳 会社員 豊中市在住
妻 41歳 薬剤師 吹田市在住
離婚原因 モラハラ 性格の不一致
きっかけ 夫のモラハラに耐えられなくなった
財産 預貯金・生命保険・学資保険・株式・確定拠出年金
子ども 1人
Aさんは、夫Bの度重なるモラハラに耐えきれなくなり夫Bとの別居・離婚を決意され、当方に依頼されました。
弁護士が夫Bに対して離婚協議を求めましたが、夫Bが「離婚はしない。どうしても離婚してほしければ、子どもの親権を渡せ。」等と理不尽な要求を繰り返したため、離婚協議が進展しませんでした。
そのため、弁護士は家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。
すると、夫Bは、「親権と監護権を分離し、親権だけは夫Bが取得したい。」と主張してきました。
親権と監護権を分離した場合、離婚後、子どものための種々の手続に親権者の同意を得なければならなくなり、その都度親権者・監護権者が連絡を取り合って対応を迫られる等、監護権者はもちろん親権者にも多大な負担が生じることになります。
そのため、親権と監護権を分離する内容で離婚が成立することはほとんどありません。
Aさんも「親権者と監護権者は両方Aさんにする」という意向が強かったため、弁護士は調停委員や裁判所の調査官を通じて、親権者・監護権者をAさんにすることを認めるよう、粘り強く夫Bを説得しました。
その結果、夫Bは親権者・監護権者をAさんにすることに同意しました。
ただ、夫Bはその後も「夫Bが婚姻期間中に借り入れた借金は折半ではなく、Aさんの方が多く負担すべき」「長期休暇中のほとんどの期間について、子どもを相手方の元で過ごさせるようにすべき」等、財産分与や面会交流について裁判や審判では到底認められない理不尽な要求を繰り返しました。
これに対し、逐一弁護士が「夫Bの主張は法的に誤っている。」と反論しましたが、その度に夫Bは別の争点を持ち出して更に法的に誤った見解を主張するため、このまま弁護士が夫Bに裁判実務の考え方を説明しても調停が成立する余地はないと考えられました。
また、夫B名義の共有財産よりもAさん名義の共有財産の方が多いのは間違いなかったため、離婚が成立する場合、Aさんから夫Bにいくらか財産分与金を支払わざるを得ない状況でした。
そこで弁護士は、法的な根拠ではなく具体的な離婚条件に争点をしぼるため、裁判・審判になった場合の財産分与・面会交流等の見込をAさんに説明した上で、早期解決のために夫Bに支払うことのできる財産分与額や面会交流の条件についてAさんの意向を聴取し、具体的な離婚条件を夫Bに提示して交渉を続けました。
その結果、最終的に「①財産分与及び解決金としてAさんから夫Bに100万円を支払い、②夫BがAさんに支払う養育費の金額を月額2万4000円とし、③夫Bと子どもの月2回程度の面会交流を認める。」という内容で離婚することを夫Bに認めさせ、この内容で調停を成立させました。
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寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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