交際相手の元夫から慰謝料500万円を請求する訴訟を提起されたが、依頼者が交際相手の元夫に支払う金額を40万円に減額させて和解を成立させた事例
依頼者 41歳 会社員(川西市在住)
きっかけ 交際女性の元夫から慰謝料請求訴訟を提起された
Aさんは、既婚者であるBと交際しており、その後Bとその夫であるCは離婚しました。
AさんとBが交際し始めたのはBとCが別居して離婚協議を始めた後でしたが、Aさんは、BとCが離婚した後、Cが依頼した弁護士から500万円の慰謝料の支払を求める慰謝料請求訴訟を提起されました。
Aさんは訴訟手続きを自分で行うのは難しいと判断し、当方に依頼されました。
訴訟において、Cは「CとBが別居する前からAさんとBは交際していた。CとBが離婚したのはAさんとBの交際によって婚姻関係が破綻したことが原因だ。」と主張してきました。
しかし、Aさんの話では、AさんがBと交際し始めた時点で、既にBとCが別居してから数か月経過していました。
また、B・Cが同居していた当時、Aさんは、BからCとの関係が上手くいっていないことについて相談されたことはありましたが、肉体関係はもちろん手をつないだことすらありませんでした。
既婚者の女性と不貞行為を行った場合であっても、不貞行為を行った当時に婚姻関係が既に破綻していれば、不貞行為が原因で婚姻関係が破綻したとはいえませんので、慰謝料の支払義務は認められません。
そこで、弁護士は「AさんとBが不貞行為を行ったのは別居してから数か月経過した後である。その時点ですでにB・Cの婚姻関係は破綻していたのであるから、Aさんに慰謝料の支払義務はない。」と反論しました。
その後もCは「AさんとBは、B・Cが別居する前から交際していた。」という主張を変えませんでしたが、確実にそれを立証できる客観的な証拠までは有していない様子でした。
ただし、別居直後に不貞行為を行っていた場合、裁判実務上、婚姻関係破綻後に不貞関係になったとは認められないことが多いので、不貞相手に慰謝料の支払義務が認められることも多いです。
Aさんの場合、BとCの同居中からBと面識があり、かつ、別居から数か月後とはいえ、離婚前にBと不貞行為を行っていたことは間違いありませんでした。
そのため、判決になった場合、Aさんに200万円程度の慰謝料の支払義務が認められてしまう可能性もありました。
また、Aさんとしては、「別居後とはいえ、Bが既婚者であることを知りながら交際していたことは間違いないので、迷惑料程度ならCに支払っても構わない」という意向でした。
弁護士がこのようなAさんの意向をCに伝えたところ、Cは「解決金50万円を支払ってもらえるなら和解に応じる。」と回答してきました。
Cが訴訟で最初に請求していた金額は500万円ですので、50万円という金額でもCが大幅に譲歩していると考えられましたが、弁護士は少しでもAさんの負担額を減らすため、「迷惑料としては、50万円は高すぎる」と反論し、Cと和解協議を続けました。
その結果、Cは「解決金40万円であれば和解する。」と提案してきました。
Aさんも解決金40万円という金額に納得されたので、最終的に「AさんがCに対し解決金40万円を支払う」という内容で和解を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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