弁護士との直接会話を拒否し、依頼者名義で契約している賃貸物件からも出ていかない妻に対して離婚調停を申し立て、妻が離婚後に同賃貸物件から退去する内容で調停離婚した事例
依頼者 夫
夫 49歳 会社員 茨木市在住
妻 52歳 無職 豊中市在住
離婚原因 妻が物を捨てられない、長期の別居
きっかけ 離婚を約束していた妻が翻意して離婚に応じなかった
財産 預貯金、退職金
子ども なし
Aさんの妻Bは、物が捨てられず、自宅(以下「旧自宅」といいます。)がごみ屋敷状態になっていました。
Aさんは何度も改善するよう妻Bに伝えましたが、妻Bが応じることはなかったため、Aさんが旧自宅を出て別居を開始しました。
ところが、その後妻BはAさんの別居先に押しかけ、そこで生活するようになりました(以下「妻B宅」といいます。)。
その結果、Aさんは更に転居せざるを得なくなりました。
その後、Aさんは妻Bに対して離婚を求め、妻Bもいったん離婚に同意しました。
しかし、その後妻Bは態度を翻して離婚を拒否し、離婚協議にも応じなくなりました。
そのため、Aさんは当方に依頼されました。
弁護士は、妻Bに対して離婚協議を申し入れましたが、妻Bは弁護士と直接話をすることすら拒否してきました。
その後、妻Bが旧自宅内の動産を撤去したため、Aさんは旧自宅の賃貸借契約を解約することはできましたが、離婚協議は全く進展せず、妻Bは妻B宅からも退去しようとしませんでした。
そのため、弁護士は家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。
妻Bは家庭裁判所には出頭してきたので、弁護士は調停時にようやく妻Bと協議することができました。
弁護士は調停の場で「本調停で離婚が成立しないのであれば、離婚訴訟を提起することになる。長期間別居が継続している点やその他の事情から、裁判になった場合、離婚の判決が出る可能性が極めて高い。」と妻Bに説明し、離婚や妻B宅からの退去に応じるよう妻Bを説得しました。
その結果、妻Bは「別居後にAさんが受領している妻Bが負担した医療費の還付金50万円と財産分与金220万円をAさんから支払ってもらい、かつ、妻B宅からの退去まで半年程度の猶予期間をもらえれば、離婚に応じる。」と回答してきました。
Aさんは別居後に上記還付金50万円を受け取っていましたので、50万円を妻Bに支払うのは妥当と考えられました。
また、裁判になった場合、Aさんの退職金の一部も財産分与の対象となり、妻Bに分与すべき金額は220万円以上になると考えられました。
そのため、妻Bへ支払う財産分与金の金額を220万円にするというのは、裁判になった場合の見込額よりもAさんに有利な内容であると考えられました。
ただ、Aさんが妻B宅から転居した後の妻B宅の内部状況がどうなっているかAさんには分からず、物を捨てられない妻Bの性格からすると、妻Bが妻B宅から出て行った後に、かなりの金額の動産の撤去費用をAさんが負担しなければならない可能性がありました。
そこで弁護士は、「上記220万円から妻B宅の動産の撤去費用(Aさんが負担することになった分)等の原状回復費用を差し引いた残額を妻Bが妻B宅から退去した後に支払う」という案を妻Bに提示して交渉し、妻Bにこれを認めさせました。
そのため、最終的に「①妻Bは、半年以内に妻B宅から退去する。②Aさんは、妻Bに対し、(還付金)50万円を離婚時に支払う。③Aさんは、妻Bに対し、220万円からAさんが負担することになった妻B宅の原状回復費用の総額を差し引いた残額を、妻Bが妻B宅から退去した後に支払う。」という内容で合意し、離婚調停を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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