依頼者:妻 吹田市在住
夫:44歳 医師
妻:48歳 主婦
離婚原因:夫の不貞
子供:2人 16歳、14歳
財産:不動産・預貯金・生命保険解約返戻金・自動車
Xさんの夫は、「女性に医療ミスをしてしまった。訴えられると医師資格がなくなるから、その女性と結婚する。一度離婚してほしい。」などと言って家を出ました。そのため、Xさんは相談に来られました。夫の言動に疑問を感じた弁護士は、興信所を紹介し、夫を調査するようXさんに勧めました。
その結果、Xさんの夫が女性と同居していることが判明しました。Xさんの夫は、女性と不貞行為をしていて、その女性と結婚するために離婚を望んでいたのです。
弁護士は、Xさんに「相手方は不貞行為をした有責配偶者なので、相手方からの離婚は7~8年は認められません。そのため、離婚の話し合いにおいては有利な立場です。強気に交渉しましょう。」と提案しました。
Xさんは、「子ども名義の預貯金は子どものために使いたいので確保したい。当分の生活費を確保したいので、できる限りの金銭的補償をしてもらいたい。現在住んでいるマンション(時価約1200万円)も取得したい。養育費は、できる限り一括で払ってもらい、残りを分割で支払うという方法にしてほしい。それができるのであれば離婚してもいい。」とおっしゃっていました。
そこで、弁護士は、相手方に対し、「相手方は有責配偶者であるから、離婚を求めても認められない。相場よりも多く財産分与をしてもらえるのであれば離婚してもいい。」と伝え、財産分与として夫婦共有財産の75%を請求しました。また、Xさんの預貯金のうち、婚姻前の800万円は特有財産(その人固有の財産であって、夫婦の共有財産でないもの)であり、財産分与の対象とならないと主張しました。その他、未払いの婚姻費用160万円、慰謝料200万円、子どもたちが22歳になるまでの養育費(できる限り一括で支払うこと)、年金分割を請求しました。相手方が有責配偶者であることから、絶対に譲歩しないとの姿勢を示しました。
その結果、どうしても早く離婚したい相手方は、こちらの請求をすべて受け入れました。
最終的に、Xさんがマンション(時価約1200万円)を取得し、子ども名義の預貯金(合計約2000万円)は子どもに帰属すること、Xさん名義の預貯金約1150万円はXさんに帰属することを確認しました。マンション、子ども名義の預貯金を含めて財産分与として総額3800万円を支払うこと、養育費として総額2690万円(そのうち、1330万円を一括で支払い、残りを分割で支払うこと)を支払うこと、慰謝料として200万円を支払うこと、未払いの婚姻費用として160万円を支払うこと、年金分割の按分割合を0.5とすることという内容で合意しました(総額で約7300万円の経済的利益を獲得しました)。
そして、養育費の支払いを確保するため、強制執行できるように、調停で解決することとし、1回目の調停で成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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