離婚を拒否する妻から不貞行為の慰謝料550万円を請求する訴訟を起こされたが、最終的に妻に支払う解決金を90万円に減額させた上で和解離婚が成立した事例
依頼者 夫
夫 49歳 会社員 箕面市在住
妻 58歳 会社員 兵庫県在住
離婚原因 浪費・不貞行為
きっかけ 妻から慰謝料請求訴訟を起こされた
財産 預貯金
子ども なし
Aさんは、Cさんという妻B以外の女性と交際しており、妻Bから合計550万円の慰謝料(訴訟提起のための弁護士費用を含みます。以下同様。)を請求する訴訟を起こされたため、訴訟対応を当方に依頼されました。
Aさんの話によると、Aさんは、妻Bと別居した後にCさんと知り合い、その後交際を始めていました。
夫婦の婚姻中であっても、婚姻関係が完全に破綻した後に妻以外の女性と交際し始めた場合は、妻へ慰謝料を支払う義務は発生しません。
ただ、Aさんは、妻Bと別居してからすぐにCさんと知り合って交際を始めており、かつ、別居後も度々妻Bの家を訪れていました。
そのため、Cさんとの交際を始める前に妻Bとの婚姻関係が完全に破綻していたことを立証するのはかなり難しいと考えられました。
もっとも、離婚しない場合の不貞行為の慰謝料の相場(不貞行為を行った配偶者とその不貞相手が支払うべき総額)は100万円~150万円程度ですが、妻BはAさんからの離婚請求を拒否していましたので、妻Bの550万円という請求額はかなり過大だと考えられました。
さらに、妻BがAさんに訴訟提起する前に、Aさんとの不貞行為を理由にCさんが妻Bに慰謝料110万円を支払っていました。
そのため、Cさんとの交際前にAさんと妻Bの婚姻関係が破綻していることを立証できなかった場合でも、Aさんと妻Bが離婚しないのであれば、Aさんが妻Bに慰謝料を支払う必要はないか又は少額の慰謝料の支払で済む可能性が高いと考えられました。
そこで、弁護士は、AさんがCさんと交際し始めたのが妻Bとの別居後であることやCさんが妻Bに慰謝料110万円を支払い済みであること等を主張立証し、妻Bの請求棄却を求めました。
すると、妻Bは、Aさんと離婚する意思を表明し、家庭裁判所に離婚訴訟を提起しました(それまでの慰謝料請求訴訟も家庭裁判所に移送され、離婚訴訟に併合されました)。
Aさんは従前から妻Bとの離婚を希望していたため、離婚訴訟では、離婚自体は争点にならず、慰謝料の金額が主たる争点となりました。
不貞行為を理由に離婚が成立する場合の慰謝料の相場は200万円~300万円程度ですが、離婚訴訟においても妻Bは550万円の慰謝料を請求してきました。
もっとも、弁護士が毅然と反論していった結果、裁判官から「Aさんが妻Bに対して解決金90万円を支払う(訴訟前にCさんが妻Bに支払った金額と合わせて200万円となる)」という内容の和解案が提示されました。
その後、Aさんも妻Bも裁判官の和解案に納得したので、最終的にAさんが妻Bに解決金90万円を支払う内容で和解離婚を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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