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交通事故が原因で夫の年収が下がっていたが、事故前の年収を前提に養育費を算定することを夫に認めさせて調停離婚した事例

解決事例

交通事故が原因で夫の年収が下がっていたが、事故前の年収を前提に養育費を算定することを夫に認めさせて調停離婚した事例

 

依頼者 妻
夫 42歳 会社員 豊中市在住
妻 42歳 パート 豊中市在住
離婚原因 暴力・暴言
きっかけ 夫の暴力等が原因で別居を開始した
財産 不動産・預貯金・生命保険・学資保険・子どもの預貯金・株式・退職金
子ども 3人

 

Aさんは、夫Bから暴力を振るわれたこと等をきっかけに別居を開始し、夫Bとの離婚協議を当方に依頼されました。
弁護士が夫Bに離婚協議を申し入れたところ、夫Bも弁護士に依頼しました。
当初夫Bは、離婚に消極的な姿勢を示し、「夫Bの希望する離婚条件をAさんが受け入れることを予め確認できた場合に離婚協議に応じる」と主張してきました。
ただ、当時夫Bが希望していた離婚条件は、極めて夫Bに有利な内容であり、到底Aさんが受け入れられるものではなかったため、弁護士は家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。
すると、夫Bは離婚を争う姿勢を止め、離婚条件の協議に応じてきましたので、調停では①養育費と②財産分与が主たる争点となりました。
①養育費は、原則として直近の年収に基づいて算定されますが、夫Bは別居前に交通事故に遭い、事故前よりも年収が下がっていました。
そのため、夫Bは「収入が下がった現在の年収を前提に養育費を算定すべき」と主張してきました。
ただ、夫Bは事故による後遺障害の認定を受けていましたので、後遺障害が原因で収入が減った分については、事故の加害者の保険会社に対して損害賠償請求(逸失利益の請求)ができると考えられました。
また、財産分与は原則として別居時点の財産が対象となりますが、夫Bの症状固定日が別居後だったため、逸失利益(症状固定日以降の分しか認められません。)自体は財産分与の対象とならないと考えられました。
そこで、弁護士は、「後遺障害による減収分については、夫Bが逸失利益の賠償金を受領することにより補填されるのであるから、交通事故に遭う前の夫Bの年収を前提に養育費を算定すべき」と反論し、夫Bと交渉を続けました。
その結果、事故前の年収を前提に養育費を算定することに夫Bも同意しました。
そのため、養育費については、事故前の年収を基に算定し、月額約12万円とすることで合意しました。
②財産分与については、主として不動産の評価額と子ども名義の預貯金を財産分与の対象に含めるかどうかが争点となりました。
不動産については、調停における協議の結果、Aさんと夫Bがそれぞれ取得した査定書の金額の中間値で評価することになりました。
子ども名義の預貯金は、Aさんが子ども達のお年玉や児童手当を貯めていたものでしたが、夫Bは「子ども名義の預貯金は全て共有財産である」と主張してきました。
子ども名義の預貯金のうち、児童手当を貯めた分については財産分与の対象になると考えられましたが、お年玉を貯めた分に関しては、子ども固有の財産となり、財産分与の対象にはならないと考えられました。
そこで、弁護士は「本件では、子ども達の出生~別居までのお年玉を別居時までに全て使いきることなど考えられない。」などと反論し、子ども名義の預貯金の半額を財産分与の対象から外すことを夫Bに認めさせました。
 以上を前提に財産分与額を算定すると、Aさんが夫Bの財産から約280万円を取得することが相当と考えられましたので、最終的に「Aさんが夫Bの財産から約280万円相当の預貯金・学資保険を取得する」という内容で合意しました。

 そのため、養育費を月額約12万円とし、夫BからAさんへ約280万円の財産分与を行う内容で調停離婚を成立させました。

 

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弁護士 寺尾浩寺尾 浩(てらお ひろし)

 

平成4年3月 一橋大学法学部卒業

平成9年   司法試験合格(52期)

 

 

 

 

 

 

 

離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。

また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。

 

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