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夫からの財産分与額を約1億1600万円に倍増させて和解離婚を成立させた事例

解決事例

夫からの財産分与額を約1億1600万円に倍増させて和解離婚を成立させた事例

 

依頼者 妻
夫 58歳 医師 大阪市在住
妻 43歳 主婦 大阪市在住
離婚原因 夫の暴言等
きっかけ 夫の弁護士から離婚協議を求められた
財産 不動産、預貯金、金、株式、生命保険、確定拠出年金
子ども 1人

 

Aさんは、別居中の夫Bが依頼した弁護士から離婚協議を求められたため、当方に依頼されました。
Aさんは「夫Bの考えている離婚条件を見てから、離婚に応じるかどうか検討する。」という意向をお持ちでした。
そこで、弁護士は、夫Bに別居時(財産分与の基準時)の財産の開示と離婚条件の提示を求めました。
その後、夫Bが開示してきた財産資料を弁護士が精査したところ、夫Bは3億円以上の財産を保有していることが分かりました。
ただ、夫Bは「別居時の財産の中には、結婚前の財産(約1億5000万円)と夫Bが相続した遺産(約7300万円)等の夫Bの特有財産が含まれている。」「共有財産についても夫Bが高収入を得ていたからこそ形成できた財産であり、財産分与の割合は夫B:Aさん=9:1にすべきである。」などと主張してきました。
その一方で、夫Bは、結婚前の財産や相続した遺産が別居時の財産にどの程度残存しているのか分かる資料を頑なに開示しようとしませんでした。
そこで、弁護士は「夫Bが特有財産の裏付け資料を開示しない限り、別居時の財産を特有財産として認めることはできない。」「夫Bが高収入であったとしても、Aさんが家事育児を全面的に引き受けていたおかげで夫Bは仕事に専念できたのであるから、実務上財産分与の割合が9:1になることはあり得ない。」などと反論し、交渉を続けました。
すると、夫Bは「“夫BからAさんに財産分与として5000万円を支払う”という内容で合意できなければ、離婚請求を断念する。」と主張してきました。
Aさんは、上記のような夫Bの態度を見て、「早急に夫Bから財産分与を受けなければ、夫Bが共有財産を隠匿又は費消してしまい、将来適正な財産分与を受けられなくなるおそれがある。」と危惧しました。
そのため、Aさんは、夫Bから早急に財産分与を受けるため、夫Bとの離婚を決意しました。
そこで、弁護士は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て(すぐに不成立になりました。)、調停不成立後に離婚訴訟を提起しました。
訴訟手続きでも、夫BからAさんへの財産分与額が主たる争点となりました。
Aさんが訴訟提起した後、夫Bは、相続した遺産(約7300万円)が別居時の夫B名義の財産に混入していることが分かる資料をようやく開示してきました。
他方で、夫Bは、婚姻時にどの程度の財産を保有していたか分かる資料については開示しませんでした。
また、夫Bは、何の証拠もないにもかかわらず、「Aさんが1億円相当の財産を隠匿している。」などと主張してきました。
当然Aさんに隠し財産などはありませんでしたので、弁護士は、夫Bの主張が提出済みの証拠と整合しないことなどを指摘しつつ、「夫Bが婚姻時に1億5000万円もの財産を保有していた可能性はなく、婚姻時の財産については別居時までに費消されたと考えるべき。」「Aさんの隠匿財産に関する夫Bの主張には、何ら合理的根拠がなく、夫Bの憶測に過ぎない。」などと詳細に反論していきました。
その結果、裁判官は、「Aさんが他に財産を隠匿していることは立証できていない」と指摘して夫Bの主張を明確に否定した上で、「夫Bが、Aさんに対し、財産分与として、1億1600万円相当の財産を渡すべき。」という趣旨の和解案を提示しました。
この時点で、別居時の夫名義の財産(3億円以上)のうち、少なくとも夫Bが資料を開示してきた約7300万円の相続財産相当額については、夫Bの特有財産(財産分与の対象外)とされる可能性が高いと考えられました。
また、夫Bが婚姻前に医師の資格を取得していたこと、婚姻中に夫Bが極めて高額な収入を得ていたこと及び共有財産の総額が高額であること等の理由から、判決になっても財産分与の割合は5:5にならない可能性が十分にありました。
上記のような判決見込を弁護士がAさんに説明したところ、Aさんは裁判官の和解案に納得されました。
また、夫Bも裁判官が提示した和解案で離婚を成立させることに同意しました。
そのため、最終的に「夫Bが、Aさんに対し、不動産を含め約1億1600万円相当の財産を分与する」という内容で和解離婚を成立させました。

 

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弁護士 寺尾浩寺尾 浩(てらお ひろし)

 

平成4年3月 一橋大学法学部卒業

平成9年   司法試験合格(52期)

 

 

 

 

 

 

 

離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。

また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。

 

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