離婚に応じようとしない長期別居中の妻を説得し、協議離婚を成立させた事例
依頼者 夫
夫 48歳 会社員 大東市在住
妻 44歳 無職 大東市在住
離婚原因 性格の不一致、長期の別居
きっかけ 妻と別居してから3年が経過した
財産 不動産・預貯金・生命保険
子ども 1人
Aさんは、3年以上前から妻Bと別居しており、別居後に何度か妻Bに離婚を求めましたが、妻Bは全く離婚に応じようとしませんでした。
そのため、Aさんは当方に依頼されました。
弁護士は、改めて妻Bに離婚協議を申し入れ、「既に3年以上の別居期間が経過している上、今後調停・訴訟と手続きを進めていけば、判決が出るまでに更に相当期間が経過するため、長期の別居を理由に裁判で離婚が認められる可能性が高い。そのため、離婚を拒否するのであれば、すぐに離婚調停を申し立てることになる。」などと、今後の見通しを妻Bに説明しました。
その上で、弁護士は、妻Bに対し、「早期に協議離婚に応じるための解決金の希望があるのであれば、Aさんも検討する用意はあるので、妻Bの希望金額を提示してほしい。」と伝え、早期離婚に応じるよう妻Bを説得しました。
しかし、その後も妻Bはなかなか離婚に応じる旨の回答をしませんでしたので、弁護士は離婚調停を申し立てました。
すると、妻Bは「離婚調停はしたくない。解決金として300万円を支払ってもらえるのであれば、協議離婚に応じる。」と主張してきました。
Aさんには、別居時点で、オーバーローンの不動産の他に約600万円の財産がありましたが、不動産の評価額よりも残ローン額の方が600万円以上高い(全ての共有財産から住宅ローンの残額を差し引くとマイナスになる)状態でした。
オーバーローンの不動産がある場合の財産分与については、
① 不動産と住宅ローンをどちらも財産分与の対象に含め、住宅ローンのうち不動産の評価額を上回る部分を不動産以外の共有財産から補填した上で、残った財産を分けるという考え方
② オーバーローンの不動産の資産価値を0円と考え、不動産と住宅ローンを財産分与の対象から外した上で、不動産以外の財産を分けるという考え方
の2種類があります。
Aさんの場合、妻Bが無職で財産もほとんどないという事情がありましたので、裁判で上記②の考え方が採用される可能性も否定できませんでした。
また、上記②の考え方を採用する場合、妻Bが提示してきた解決金の金額は不動産以外のAさんの財産の半額とほぼ同額でしたので、不合理な額とまでは言えませんでした。
そのため、Aさんは早期離婚のために妻Bの要望を受け入れることに納得され、最終的にAさんが妻Bに対して解決金300万円を支払う内容で協議離婚を成立させ、離婚調停は取り下げました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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