妻へ支払う解決金を500万円から235万円に減額させて調停離婚した事例
依頼者 夫
夫 54歳 会社員 豊中市在住
妻 54歳 パート 兵庫県在住
離婚原因 長期の別居
きっかけ 別居してから長期間経過した
財産 預貯金
子ども 1人
Aさんは、20年以上前から妻Bと別居しており、妻Bと離婚するために自分で離婚調停を申し立てました。
しかし、調停での交渉が上手くいかなかったため、当方に依頼されました。
弁護士がAさんから事情を聞いたところ、Aさんは別居前に不貞行為を行っていました。
そのため、裁判になった場合、Aさんは有責配偶者と判断される可能性が高いと考えられました。
有責配偶者からの離婚請求は簡単には認められませんが、
① 別居期間が夫婦の年齢や同居期間と対比して相当の長期間といえること
② 夫婦間に未成熟子がいないこと
③ 離婚を認めることが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がないこと
といった事情が認められるような事案では、有責配偶者であっても裁判で離婚が認められる可能性が高いです。
Aさんの場合、20年以上(同居期間の5倍以上)別居が継続しており、近日中に子どもが大学を卒業して社会人となる見込みでしたので、離婚訴訟を提起すれば離婚が認められる可能性が高いと考えられました。
また、不貞行為が原因で離婚する場合の慰謝料の相場は200万円~300万円ですが、既にAさんの当時の不貞相手が妻Bに慰謝料300万円を支払っていましたので、別途Aさんが妻Bに多額の慰謝料を支払う必要はないと考えられました。
それにもかかわらず、妻Bは、離婚調停において、「解決金500万円を支払ってもらわないと離婚に応じない。」と主張してきました。
Aさんとしては、裁判にならずに離婚できるのであれば一定の解決金を妻Bに支払っても構わないと考えていましたが、それでも500万円は支払えないという意向でした。
そこで、弁護士は「既に20年以上別居期間が経過しており、訴訟提起すれば離婚が認められる可能性が高い。慰謝料についても、既に不貞相手が300万円支払っている以上、別途Aさんに支払う法的義務はない。妻Bの主張する解決金の金額には合理的根拠がなく、早期解決のための解決金としても高額すぎる。」などと反論し、解決金の減額を求めて妻Bと交渉を続けました。
その結果、妻Bは235万円まで解決金の金額を減額することを認めました。
離婚訴訟を提起すれば、Aさんから妻Bへの支払額(財産分与を含む)を235万円以下にできる可能性もありましたが、Aさんは裁判をせずに離婚することを優先され、解決金の金額を235万円とすることに同意しました。
そのため、最終的にAさんから妻Bに解決金235万円を支払う内容で調停離婚しました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
【アクセスマップ】