夫名義の共有財産よりも妻名義の共有財産の方が多かったが、夫に財産分与せずに和解離婚した事例
依頼者 妻
夫 39歳 会社員 大阪市在住
妻 44歳 教員 豊中市在住
離婚原因 長期の別居
きっかけ 夫から離婚訴訟を提起された
財産 預貯金
子ども なし
夫BがAさんに離婚を求めたことなどから夫婦関係が悪化したため、Aさんは夫Bと別居していました。
その後、夫Bは離婚調停を申し立ててきましたが、体調不良等の理由でAさんが調停に出頭できなかったため、調停は不成立で終了しました。
すると、夫Bは離婚訴訟を提起してきました。
訴訟手続きをAさんが自分で行うのは不可能なため、Aさんは当方に訴訟対応を依頼されました。
弁護士が受任した時点で、Aさんと夫Bの別居から既に2年程度経過しており、今後も同居する可能性はなかったため、「Aさんに有利な条件で離婚が成立するのであれば、離婚もやむを得ない。」とAさんは考えていました。
裁判手続きにおいて、Aさんと夫Bの財産をそれぞれ開示したところ、財産分与の基準時における夫B名義の預貯金残高よりもAさん名義の預貯金残高(共有財産のみの残高)の方が200万円程度高いことが分かりました。
また、上記財産以外に、Aさんは結婚前の預貯金などの特有財産も保有していましたが、夫Bはその一部の特有財産性を否定し、「共有財産である」と主張してきました。
そこで、弁護士は、Aさん名義の預貯金の婚姻時からの取引明細等を裁判所に提出し、Aさん名義の財産(一部)の特有財産性を主張立証しました。
さらに、Aさんに有利な離婚条件を夫Bから引き出すため、弁護士は、夫Bが主張する離婚原因について詳細に反論した上で、「現時点では、離婚原因は認められない(Aさんの同意がない限り離婚は成立しない。)。ただ、Aさんが離婚を受け入れられるような和解案が提示されれば離婚を検討する用意はある。」などと主張しました。
財産分与は、原則として共有財産を2分の1ずつ分けることになるため、離婚が成立する場合、特有財産に関するAさんの主張を前提としても、本来Aさんから夫Bに100万円程度の財産分与を行う必要がありました。
ただ、上記のように弁護士が反論していった結果、夫Bは「和解離婚が成立するのであれば、夫BからAさんに財産分与を求めない。」という和解案を提示してきました。
Aさんもこの内容に納得されたため、最終的に「互いに財産分与を求めない。」という内容で和解離婚を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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