離婚訴訟で妻から慰謝料330万円を請求されたが、解決金20万円を妻に支払う内容で離婚した事例
依頼者 夫
夫 31歳 会社員 大阪市在住
妻 34歳 主婦 徳島県在住
離婚原因 性格の不一致・妻の暴言
きっかけ 妻が子どもを連れて家を出て行った
財産 預貯金・生命保険
子ども 2人
Aさんは、妻Bの暴言等を理由に妻Bに離婚を求めていました。
妻Bは、離婚を拒否していましたが、その後自宅を出て行き、弁護士に依頼して夫婦円満調停と婚姻費用分担調停を申し立ててきました。
そのため、Aさんは今後の調停対応を当方に依頼されました。
Aさんは離婚を希望しており、別居後子どもとの面会交流もできていませんでしたので、弁護士は離婚調停と面会交流調停を申し立て、妻Bが申し立てた上記調停と併合させました。
調停になっても、妻Bは離婚を拒否しつつ、「Aさんから子ども達への誕生日プレゼントも受け取りたくない」などと主張して、一切の面会交流を拒否してきました。
妻Bが申し立てた夫婦円満調停は夫婦関係の修復を求める調停ですが、調停での妻Bの態度や主張内容からすると、とても夫婦関係の修復を求めているようには見えませんでした。
そのため、裁判官からも妻Bに対して「面会交流すら拒否している状態でどのように夫婦関係を修復するつもりなのか?」と疑問が示され、「本当に夫婦関係の修復を考えているのであれば、具体的な修復方法を提案してほしい。」と妻Bに指示がありました。
しかし、それでも妻Bは夫婦関係修復の提案を行わず、一切の面会交流を拒否してきたため、調停は全て不成立になり、婚姻費用と面会交流については審判に移行しました。
その後、婚姻費用については、算定表どおりに月12万円の審判が確定しました。
面会交流については、「一切の面会交流を認めない」という妻Bの主張は否定されましたが、子ども達が乳幼児であったため立会人なしの面会交流が難しく、コロナ禍でもあったため、①当面オンラインによる面会交流を実施し、かつ、②妻BがAさんに対して子ども達の写真や動画を定期的に送るという内容の審判が出されました。
面会交流の審判が出されると、妻Bはそれまでの態度を一変させてAさんに離婚を求めてきました。
もっとも、妻Bが自身に有利な離婚条件での離婚に固執したため、交渉は決裂し、妻BはAさんに対して離婚訴訟を提起してきました。
離婚訴訟になると、妻Bは、養育費については算定表どおりの月8万円を請求してきましたが、「Aさんに暴力を振るわれた」などと主張して慰謝料330万円も請求してきました。
しかし、Aさんの話によると、慰謝料が発生するような暴力をAさんが妻Bに振るったことはありませんでした。
そこで、弁護士は、妻Bの主張について詳細に反論していきました。
その結果、当事者双方の主張立証がほぼ完了した段階で、裁判官から「別居や離婚について、当事者のどちらか一方にだけ非がある事案ではない」旨の見解が示され、裁判官が慰謝料までは認められないという心証を持っていることが明確になりました。
その上で、裁判官から、共有財産が少なくAさんから妻Bに対して多額の財産分与をすべき事案ではないものの、現在のAさんと妻Bの収入に差があり、かつ、まだ子どもが幼く妻Bの就労に制限がかかる点などを考慮して、「財産分与を含めた解決金としてAさんから妻Bに20万円を支払う(養育費は相当額の月8万円とする)」という和解案が提示されました。
Aさんも妻Bも裁判官の和解案に同意したため、最終的に「Aさんが妻Bに対し解決金20万円、養育費月8万円を支払う」という内容で離婚が成立しました。
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寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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