モラハラ夫との離婚で後悔しないための準備
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モラハラの特徴は、相手に反論する気力を失わせ、経済的にも精神的にも自分の支配下に置こうとする行為を無自覚に行うことにあります。
そのため、モラハラ夫には、
① 妻に全く非が無くても妻を責める(自分の非は絶対に認めない)
② 妻を苦しめている自覚がない
③ 妻に渡す生活費を少なくして妻が自由に使えるお金を制限したり、その使途を細かく確認する
などの特徴があることが多いです。
当然のことですが、モラハラ夫との離婚が成立すれば、モラハラ夫からモラハラを受けることがなくなりますので、モラハラ夫に煩わされて精神的に疲弊することも無くなります。
これがモラハラ夫と離婚する最大のメリットだと考えられます。
また、モラハラ夫と離婚することで、モラハラ夫によって制限されていた自由を取り戻すこともできます。
例えば、モラハラ夫によって就労を制限されていたようなケースでは、離婚することで仕事に打ち込めるようになりますので、自身の年収を上げることやキャリアアップを選択できるようになります。
モラハラ夫との離婚が成立した場合、晴れやかな気持ちで新たなスタートを切る方が多いですが、離婚後に後悔される方もいます。
具体的には、離婚によって想定以上に生活が苦しくなったり、子どもが寂しい思いをするようなケースです。
モラハラ夫は高年収であることが多いので、離婚を焦るあまり養育費を取り決めずに離婚したり、十分な財産分与をもらわずに離婚したようなケースでは、想定していた以上に生活が苦しくなることがあります。
また、モラハラ夫と子どもの関係が良好なケースでは、モラハラ夫となかなか会えなくなることで、子どもが寂しい思いをすることもあります。
モラハラ夫との離婚を後悔しないためには、事前に離婚後の生活がどうなるかを具体的にイメージし、そのような生活が受け入れられるものかどうかを慎重に検討する必要があります。
具体的には、以下⑴~⑶のような点を検討しておきましょう。
離婚後は、離婚時に取得できた財産・養育費及び離婚後の自分の収入で生活していかなければなりません。
そのため、財産分与の見込額・養育費の金額・離婚後に受給できる公的支援及び年金分割によって取得できる将来の年金額等を踏まえ、離婚後十分に生活していけるかどうかを検討しなければなりません。
特に、離婚後に就職や転職を考えている場合は、必要な資格やスキルの取得方法・取得時期や就職・転職後の年収額についても具体的に検討しておく必要があります。
また、財産分与の見込額を算定するためには、事前にモラハラ夫の財産資料を収集しておく必要もあります。
婚姻中に居住していた不動産に離婚後も住み続けることができる内容で財産分与等を行う場合は、特に離婚後の住居を気にされる必要はありません。
ただ、離婚後に自宅を出て行く予定の場合は、新たな住居を探さなければなりませんので、どこに居住するのか(新たな不動産の購入又は賃貸、実家に居住等)を検討しておく必要があります。
特に、未成年の子どもがいる場合は、学校や進学先のことも含めて離婚後の住居を検討しなければなりません。
離婚したからといって父子関係がなくなるわけではありませんので、モラハラ夫と子どもの関係が良好な場合は、離婚後も面会交流を行っていくことが多いです。
そのため、離婚した場合にどのような面会交流を希望するのか(頻度や方法等)、その希望をモラハラ夫が受け入れる可能性があるのかどうかについても、具体的に検討しておきましょう。
上記1の検討を踏まえ、離婚の決意が固まったら、離婚までの道筋をイメージする必要があります。
モラハラ夫はなかなか離婚に同意しない場合が多いので、離婚成立まで時間がかかることも少なくありません。
そのため、モラハラ夫とは離婚前に別居して離婚協議を行っていくケースが多いですので、離婚成立までの生活(多くの場合はモラハラ夫と別居した後の生活)やその期間が長期に渡る可能性があることも踏まえて、離婚までの道筋や離婚調停・離婚訴訟等の手続きについても具体的にイメージしておきましょう。
上記で説明した離婚条件や離婚までの道筋等については、弁護士に相談すればアドバイスを受けることができます。
また、モラハラ夫と自分で離婚協議を行うのは困難なケースが多いですが、弁護士に相談したからといって必ず弁護士に依頼しなければいけないわけではありません。
そのため、「まずは、自分でモラハラ夫と離婚協議してみたい」とお考えの場合、弁護士に相談して法的な助言を受けた上でモラハラ夫と自分で離婚協議を行い、それでも離婚できない場合に弁護士への依頼を検討するというのも選択肢の一つです。
自分でモラハラ夫と離婚協議をしようとすると、協議前だけでなく協議中も様々な法的な疑問が湧いてくることがあります。
弁護士に依頼すれば、法的な疑問が生じてもその都度弁護士に質問して疑問を解消することができます。
離婚するといっても、親権・養育費・面会交流・財産分与・慰謝料・年金分割・婚姻費用の精算等、離婚に際して取り決めなければならない離婚条件はたくさんあります。
また、それぞれの離婚条件について、裁判例や審判例を踏まえた実務上の妥当な結論というものがあります。
ただ、モラハラ夫は、弁が立つことも多いので、法的に誤った主張であっても正しい主張であるかのように強弁することで、モラハラ夫に有利な離婚条件を強要してくることがあります。
弁護士に依頼されれば、モラハラ夫にどういう離婚条件を提示するか又はモラハラ夫が提示してきた離婚条件を受け入れるかどうか等について、弁護士と相談しながら協議を進めることができますので、モラハラ夫の主張に惑わされることなく、法的に妥当な結論に向けてモラハラ夫との交渉を進められます。
モラハラ夫との離婚協議は、それ自体が多大なストレスとなります。
弁護士に依頼すれば、モラハラ夫との交渉を全て弁護士が行うことになりますので、モラハラ夫とあなたが直接交渉する必要がなくなり、離婚協議によるストレスを軽減できます。
以上のとおり、モラハラ夫との離婚で後悔しないためには、事前に様々な準備や検討を行っておく必要がありますので、モラハラ夫との離婚をお考えの方は一度当事務所にご相談ください。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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