夫の方が有責配偶者であったが、慰謝料と財産分与を相殺し、妻から約70万円を取得する内容で離婚した事例
依頼者 夫
夫 36歳 会社員 兵庫県川西市在住
妻 36歳 会社員 大阪府高槻市在住
離婚原因 不貞行為
きっかけ 妻から離婚を求められた
財産 預貯金・生命保険・子ども名義の預貯金
子ども 1人
Aさんは、妻B以外の女性Cと不貞行為を行ってしまいました。
そのことが妻Bに発覚し、妻Bが依頼した弁護士から離婚を求められたため、Aさんは今後の対応を当方に依頼されました。
Aさんとしても、不貞行為を行った自分に非があることは自覚されており、妻からの離婚請求や慰謝料請求に応じる意向でした。
ただ、Aさんから事情を聞いたところ、Aさん名義の共有財産よりも妻B名義の共有財産の方が多く、Aさんには妻Bから一定の財産分与を受ける権利があると考えられました。
そこで、弁護士は妻Bに対し、財産資料の開示や離婚条件の提示を求めました。
すると、妻Bは妻B名義の財産資料を開示してきましたが、子ども名義の預貯金の資料は含まれていませんでした。
子ども名義の預貯金口座であっても、その原資が共有財産(夫婦の給与等)であれば、夫婦共有財産となります。
そのため、弁護士は、妻Bに対し、子ども名義の預貯金も開示するよう交渉しました。
その結果、妻Bは子ども名義の預貯金口座(残高約120万円)を開示してきました。
Aさん、妻B、子ども名義の財産資料を精査したところ、財産分与としては、妻BからAさんに対し、約370万円を分与するのが相当と考えられました。
妻Bは、「①Aさんが妻Bに支払うべき慰謝料の金額を300万円とする。②妻BがAさんに支払うべき財産分与額を約370万円とする。③①と②を相殺して、差額の約70万円を妻BからAさんに支払う。④養育費は月6万円とする。」という内容の離婚条件を提示してきました。
不貞行為を原因とする離婚慰謝料の相場は200万円~300万円程度であり、妻BはCからも100万円程度の慰謝料を受領する予定にしていましたので、妻Bの提示してきた上記①の慰謝料の金額は相場よりも少し高いと考えられました。
また、Aさんと妻Bの年収からすると、妻Bの提示してきた上記④の金額は、養育費の相当額よりも月1万円程度高いと考えられました。
ただ、Aさんとしては、自分が不貞行為を行った以上、多少妻Bに有利な離婚条件でも受け入れるつもりであったため、上記①~④の離婚条件に応じる意向でした。
そのため、最終的に、慰謝料と相殺後の財産分与残金約70万円をAさんが妻Bから取得し、かつ、Aさんから妻Bに支払う養育費を月6万円とする内容で、離婚を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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