夫の休職後の収入を前提に養育費を算定することを妻に認めさせて調停離婚した事例
依頼者 夫
夫 29歳 会社員 大阪府摂津市在住
妻 27歳 無職 大阪府富田林市在住
離婚原因 精神的虐待
きっかけ 妻と別居してから約1年半が経過した
財産 預貯金、自動車
子ども 2人
Aさんは、妻Bから離婚を求められましたが、夫婦で話し合い、ひとまず離婚はしないことになりました。
ただ、それ以降、Aさんは妻Bとの同居生活に強いストレスを感じるようになり、度々体調不良に陥りました。
そのため、Aさんは妻Bと別居し、今度はAさんの方から妻Bに対して離婚を求めました。
しかし、妻Bはなかなか離婚に応じようとしませんでした。
その後、離婚協議が進展することなく約1年半が経過したため、Aさんは妻Bとの離婚協議を当方に依頼されました。
別居後、Aさんは妻Bに対して月15万円(給料手取額の大半)を生活費として渡していましたが、これは婚姻費用の相当額を大きく超える金額でした(相当額は月7万5000円程度)。
そこで、弁護士は、妻Bに対して離婚協議を求めるとともに、婚姻費用を減額することも伝えました。
すると、妻Bも弁護士に依頼し、「離婚には応じられないが、婚姻費用は月15万円支払ってほしい。」などと極めて理不尽な主張を行ってきました。
そのため、弁護士は協議による離婚は困難と判断し、家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。
調停手続きにおいても、妻Bは月15万円の婚姻費用を請求してきましたが、離婚については「条件次第で検討する」と態度を軟化させてきました。
Aさんと妻Bの同居期間は短く、共有財産はそれほど多くありませんでしたが、Aさん名義よりも妻B名義の共有財産の方が多い状況でした。
また、調停申立後にAさんの病気が発覚し、Aさんは仕事を休職せざるを得なくなりました。
そこで、弁護士は、Aさんと相談の上、「Aさん休職後の婚姻費用と離婚後の養育費については、Aさん休職後の年収(傷病手当)を前提に算定すべき。」「妻Bが調停離婚に応じるのであれば財産分与を求めないが、離婚訴訟になるのであれば、妻B名義の共有財産も折半する内容しか認めない。」などと主張し、妻Bと交渉しました。
これに対し、妻Bは解決金の支払などもAさんに求めてきましたが、財産分与で既に妻Bに譲歩していること等を強調して弁護士が妻Bと交渉を続けた結果、妻Bは上記弁護士の主張を全て受け入れました。
そのため、最終的に「①Aさん休職前の婚姻費用を月7万5000円、Aさん休職後の婚姻費用を月5万5000円とし、②離婚後の養育費を月4万円とする。③財産分与はなしとする。」という内容で調停離婚を成立させました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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