監護権とは、身上監護権と財産管理権とからなる親権から、身上監護権のみを取り出したものであり、親が子どもを監護し教育する権利義務を「監護権」と呼んでいます。簡単に言うと、子どもと一緒に生活し、子どもを保護して養育する権利義務のことです。
監護権は、親権の一部ですから,原則として親権者がこれを行使します。
親権者と監護権者は一致したほうが、子どもの福祉に資すると一般に考えられていますが、親権者が子どもを監護できない状況にある場合や、離婚に際し夫婦双方が親権を譲らない場合などは、親権者と監護者に分けて、部分的に子どもについての責任を負うという形が取られることがあります。
未成年者の子どもがいる夫婦が離婚する場合は、親権者を同時に定めなければ離婚することはできませんが、監護権者については、必ずしも離婚と同時に決めなければならないわけではなく、離婚が成立した後でも監護権者を決めることができます。親権者の変更の場合ように家庭裁判所の許可も必要ありません。
しかし、監護権者は、「離婚届」に記載する必要はなく、戸籍にのることもありませんので、監護権者を口約束だけで決めておくと、後々のトラブルになる危険性があります。夫婦間の話し合いで監護者が決まった場合には、「離婚協議書」を作成しておくと安心です。
監護権者については、原則として両親の話し合いで決定しますが、話し合いで決定することができない場合は、家庭裁判所に監護権者指定の調停または審判を申立てることになります。
家庭裁判所が監護権者を指定する際には、子どもを十分に養育していけるか,子どもの成長のためにはどちらを監護権者とすればよいか等、子どもの利益や福祉が考慮され判断されることになります。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
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