依頼者 夫 高槻市在住
夫 36歳 会社員
妻 31歳 会社員
離婚原因 妻からの暴力・精神的虐待
財産 特になし(不動産はオーバーローン)
子どもなし
Dさんの妻は、妊娠を機に暴力・精神的虐待を行うようになりました。Dさんは、妊婦である妻の体調を気遣い、料理や掃除などの家事をできる限り行うようにしましたが、妻は「全く気遣ってくれない。」と非難ばかりしてきました。
妻は突然離婚を求めてきたり、Dさんの人格を否定するような言葉をあびせたりするようになりました。それだけでなく、Dさんの顔面を殴打することがあり、そのためDさんの唇が切れて出血したり鼻血が出たりすることがありました。妻からの暴力及び繰り返される暴言に耐えきれなくなり、Dさんは家を出ることにしました。
これ以上婚姻関係を継続することができないと考えたDさんは、離婚を決意され、当事務所に相談に来られました。
弁護士から妻に離婚に向けた協議を申し入れたところ、Dさんに何の相談もなく勝手に中絶手術をしていたことが判明しました。さらに、妻はDさんと離婚したくないと主張してきました。また、離婚を求めたことは一度もなく、Dさんから暴力を受けたと虚偽の主張をし、どうしても離婚したいのであれば慰謝料を含めた解決金500万円を支払うよう請求してきました。
妻が暴力をふるった際、Dさんも抵抗して妻の手をつかんだため、妻の腕にはDさんの爪痕が残っていました。また、妻からの暴力は2回だけでした。そのため、裁判になった場合、妻からの2回の暴力による慰謝料及び離婚請求そのものが認められない可能性があったこと、暴言を立証しようとすると明確な証拠がないため紛糾して早期解決が困難になることから、早期に離婚解決できるのであれば、妻に対し慰謝料や財産分与など一切請求しないという0円での和解を提案しました。しかし、妻が「離婚したくない、離婚するなら500万円を支払え。」という主張に固執したため、協議では合意できず、調停に移行せざるを得ませんでした。
調停に移行しても、妻は「離婚したくない。」と主張を変えませんでした。裁判になったとしても妻からの暴力・暴言が離婚事由であると認められない可能性があり、離婚できないおそれがありました。そこで、Dさんは早期解決のためであれば100万円までなら解決金を支払ってでも離婚したいと考えるようになりました。
調停において、弁護士は「Dさんの離婚の意思は変わらない。Dさんからの暴力はなく、慰謝料を支払う意思も責任も全くない。」と強い態度を示しました。すると、調停委員は、裁判官と協議し、「裁判に移行した場合、慰謝料が500万円も認められることはない。0円となる可能性もあると考えている。」と妻を説得しました。すると、妻は「解決金100万円支払えば離婚してもいい。家からも退去する。」と譲歩してきました。Dさんは「今すぐに離婚できるのであれば、解決金100万円を支払う。」と納得されました。支払方法については妻と交渉し、100万円の一括払いではなく、「調停が成立した月の月末までに30万円、その翌月月末までに20万円、その後5か月間は月10万円という分割で支払う。」という条件で調停が成立しました。
その結果、離婚が認められない可能性のある訴訟に移行することなく、早期に離婚することができました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
【アクセスマップ】