依頼者 妻 堺市在住
妻 53歳 アルバイト
夫 57歳 公認会計士
離婚原因 夫からのモラハラ
財産 預貯金・不動産・車・生命保険
子ども なし
Fさんの夫は、普通の会話をしていても、気分を害すとFさんにあたりちらし、何時間も説教し続けました。そのため、Fさんは常に夫の顔色を窺わなければならず、恐怖に支配された状態から抜け出したいと思うようになりました。しかし、すぐに怒鳴り出す夫に別居や離婚を切り出す勇気もなく、夫の実家に置いてある大切な動産を取り返すための交渉を夫とすることも怖くてできません。どうしていいか途方に暮れて相談に来られました。
当方は、「夫の外出時に荷物を運びだして引越をする。引っ越し業者は紹介します。弁護士が依頼を受けたので以後は弁護士に連絡するようにという弁護士からの手紙を置いて出て行く。以後の離婚交渉・動産引渡し交渉は全て弁護士に委ねる。」という方法をお教えしました。
Fさんはパッと表情が明るくなり、「暗闇の中に一筋の光が差したような気がします。是非お願いします。」と依頼されました。
別居後は夫の財産を調査することはきないので、全財産を調査してコピーを取っておくように弁護士はFさんに指示しました。Fさんは弁護士の指示どおり、調査が終了したあとに、引っ越されました。Fさんの調査の結果、夫はFさん名義で約5000万円の預貯金、夫名義で約9000万円の不動産・預貯金・保険・車等を有していました。弁護士は総額1億4000万円の半額=7000万円の財産分与・婚姻費用の支払を夫に求めました。しかし、夫は「財産形成に妻は貢献していない。妻名義の預貯金以外の財産は分与しない。動産は引き渡さない。」と主張し続け、一切譲歩しようとしませんでした。やむなく調停を申し立てましたが、調停委員・夫側の弁護士にいくら説得されても、「自分が蓄積した財産は自分のもの。最高裁まで争う。」という独自の見解を曲げず、調停は難航しました。
夫の実家に置いてある動産は、Fさんが収入を獲得するために直ちに必要なものでした。また、夫の言動により当時の記憶がよみがえり、「今後訴訟を提起して最高裁まで争う心労に耐えられるだろうか。」という思いがFさんにはありました。そこで弁護士はFさんと相談のうえ、「1カ月後に動産を引渡し、解決金100万円を支払うなら、財産分与は5000万円でよい。応じないなら、夫の母に対して動産引渡訴訟を提起する。」という調停案を提示しました。母親に訴訟を提起されることは嫌だったからか、夫はこの調停案に同意しました。Fさんは動産・100万円を無事取得し、財産分与5000万円を取得して調停離婚しました。
最高裁まで(2~3年)争えば2000万円増額できた可能性がありましたが、早期に離婚でき、動産も回収できたので、Fさんは満足されました。
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寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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