Bさんは夫から「離婚したい。」と告げられました。
Bさん自身には離婚原因(たとえば不貞行為など)はなく、夫が裁判離婚を求めても直ぐには離婚は認められそうにない事案でした。Bさん自身は離婚するつもりはなく、夫婦関係を継続したいと考えておられました。
夫がどうしても離婚したいと言い続けた場合、離婚に応じなければならないのか。離婚に応じた場合、今のマンション(マンション価格よりローンの方が多い)に住み続けられるか、わからなくて不安で相談に来られました。
こちらに離婚原因がない場合には、長く別居していない限り、夫が離婚裁判を起こしても裁判で離婚が認められることはありません。ですからBさんは離婚に応じる必要はありません。
しかし、夫が離婚したいと言い続け、夫との関係修復が不可能であり、夫婦関係が破綻している場合には夫の裁判離婚が認められる場合があります。たとえば夫が別居を開始し5年以上経過したような場合です。
その場合には、夫婦関係は破綻していて修復不可能と認定され、夫からの離婚請求が認められ、裁判相場どおりの財産分与・慰謝料・養育費しか請求できなくなります。マンションに住み続けたいという希望もかなわない可能性があります。離婚後の生活設計が不安定となるかもしれません。
夫のからの裁判離婚請求が認められない今であれば、「マンションのローンを夫が払い続けるならば離婚してもよい。」「裁判相場の2~3倍以上の財産分与・慰謝料・養育費を夫が支払うなら離婚してもよい。」と条件を付けて夫と交渉し、こちらに有利な離婚条件を認めさせることが可能です。
夫の離婚意思が固い場合や、夫婦関係の修復が難しい場合には、今のうちに有利な条件で離婚する方が得策です。その方が、離婚後の生活設計が安定します。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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