「仕事をするな」という夫はモラハラになるのか?
離婚相談に来られる方の中には、「仕事をするな」と夫から言われているケースがあります。
妻自身に収入がなければ、妻が夫と離れて経済的に自立するのは困難になりますので、特に合理的な理由なく「仕事をするな」と妻に要求する行為は、夫が経済的に優位に立って妻を支配しようとしていることを窺わせます。
相手を支配することを目的とするような言動はモラハラの特徴の一つですので、特に妻の方に働けない事情がないのであれば、「仕事をするな」と妻に要求する行為は、モラハラに該当する可能性が高いと考えられます。
但し、モラハラに該当するかどうかということと離婚が認められるかどうかは別問題だという点に注意しなければなりません。
すなわち、モラハラだけを理由に裁判で離婚が認められるのは、夫婦関係を完全に破綻させたと評価できるほどのモラハラを立証できた場合のみですので、モラハラを立証できても離婚が認められないこともあります。
例えば、「仕事をするな」と夫から言われたことを立証できた場合でも、その回数が1回だけならば、それだけでは夫婦関係を完全に破綻させたとまでは評価できず、離婚が認められない場合が多いと思います。
ただ、離婚を考えるほど夫のモラハラに悩まれている方は、一つだけではなく複数のモラハラを受けていることが多いと思います。
また、夫婦関係が完全に破綻しているかどうかを裁判所が判断する場合、別居期間等のモラハラ以外の事情も考慮されます。
そのため、離婚の可否という観点からすると、個々の行為がモラハラに該当するかどうかよりも、モラハラの程度やその他の事情により婚姻関係が破綻しているといえるかどうかが重要になってきます。
以上のとおり、合理的理由なく「仕事をするな」と妻に要求する行為はモラハラに該当する可能性が高いですが、モラハラに該当するからと言って、必ずしも離婚できるとは限りません。
モラハラ夫と離婚できるかどうかを考える際には、モラハラの程度やモラハラ以外の事情も検討する必要がありますので、モラハラ離婚をお考えの方は、一度当事務所にご相談ください。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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