モラハラ妻との離婚を実現するための手順
「モラハラ夫」という言葉は、最近よく使われていますので、耳にされたことのある方も多いと思います。
ただ、モラハラは、必ずしも夫だけが行うものではありません。
そのため、世の中には「モラハラ夫」だけでなく「モラハラ妻」も存在します。
モラハラの特徴は、相手に反論する気力を失わせ、経済的にも精神的にも自分の支配下に置こうとすることにあります。
これは「モラハラ夫」であっても「モラハラ妻」であっても変わりません。
そのため、「モラハラ妻」には、
① 明らかに妻に非があることでも全て夫のせいにする。
② 「稼ぎが少ない」などと日常的に夫を罵倒し、夫が反論すると更に罵倒がひどくなる。
③ 夫の収入を全て管理した上で、夫の出費はほとんど認めないのに妻の出費には一切文句を言わせない。
などの特徴があることが多いです。
離婚協議・離婚調停を経てもモラハラ妻が離婚を拒否し続けた場合、離婚訴訟を提起して裁判所に判決で離婚を認めてもらう必要があります。
その場合、モラハラを理由に離婚の判決を獲得しようとすると、モラハラ妻から「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるほどのモラハラを受けたことを夫側が立証しなければなりません。
そのため、将来離婚訴訟を提起しなければならなくなった場合に備え、録音録画・日記などのモラハラの証拠をお持ちであれば、誤って捨てたりしないようにしっかりと保管・保全しておいた方がいいでしょう。
最近では、非公開のブログに妻から受けたモラハラ行為を詳細に記録している方もおられます。
但し、後記⑵で詳しくご説明しますが、既にモラハラ妻との離婚を決意されているのであれば、モラハラの証拠収集よりも早期別居を優先させた方がいい事案が多いですので、ご注意ください。
妻から日常的にモラハラを受けている夫は、モラハラに耐えるのに必死でモラハラの証拠を収集する余裕がない場合が多いです。
そのため、裁判で「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるほどのモラハラ行為を立証できるような詳細な記録を取っている夫はそれほど多くありません。
そこで重要になってくるのが別居期間です。
実務上、長期の別居も「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たると考えられていますので、モラハラ行為を立証できないような場合でも、夫婦の別居期間が3年程度経過すれば、判決で離婚が認められる可能性が高くなります。
別居と同時又は別居後にモラハラ妻と離婚協議を開始すれば、離婚協議や離婚調停中も別居期間が加算されますので、離婚協議・離婚調停で離婚が成立しなかった場合でも協議を行っていた期間が無駄にならずに済みます。
また、別居期間が長くなるにつれ、裁判で離婚が認められる可能性が高くなっていきますので、離婚協議・離婚調停において離婚に応じるようモラハラ妻を説得しやすくなります。
このように、できるだけ早く別居を開始することがモラハラ妻と離婚するための近道になります。
なお、別居前に行っておいた方がいい準備や調査もありますので、可能であれば別居前に一度弁護士に相談された方がいいでしょう。
モラハラ妻は、基本的に夫のことを自分より下にみていますので、夫の意見をほとんど認めません。
モラハラ妻と自分で離婚協議をしようとしても、不利な離婚条件を押し付けられたりして協議が上手くいかないことがほとんどです。
そのため、モラハラ妻との離婚協議を決意された方は、できるだけ弁護士にご依頼されることをお勧めします。
なお、別居前に弁護士に依頼しておけば、別居後のモラハラ妻との離婚協議は全て弁護士が行うことになりますので、自分でモラハラ妻と離婚協議を行うことによるストレスも解消することができます。
モラハラ妻との離婚協議が決裂した場合やそもそもモラハラ妻が離婚協議に応じないような場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
ただ、モラハラ妻は、外面がよく、弁が立つ人も多い(理不尽な主張をして人の話を一切聞かないことも含む)ので、モラハラ妻の理不尽な主張に対してその都度適切に反論していかないと、こちらの主張が正しいことが調停委員になかなか伝わりません。
事前に弁護士に依頼しておけば、調停の席に弁護士が同席することになりますので、モラハラ妻から理不尽な主張をされても、弁護士が法的知識を踏まえて毅然と反論していくことができます。
調停を経ても離婚や離婚条件について合意できなければ調停は不成立となります。
その場合、離婚訴訟を提起して裁判で離婚を求めていくことになります。
離婚事件全体でみると、協議や調停で離婚が成立せずに離婚訴訟に移行するケースはそれほど多くありません。
ただ、モラハラ妻の場合、合理的な考え方ができず、弁護士や調停委員の話や助言も聞き入れずに自分の都合だけ押し付けてくることも多いので、訴訟提起しないと離婚が困難なケースも少なくありません。
裁判では、妻によるモラハラの証拠などの婚姻関係が破綻している証拠を提出するとともに、その証拠が裏付けている事実関係を法的に整理して書面で主張し、離婚原因を立証していくことになります。
また、双方の財産の時価について、証拠を付けた上で一覧表にして裁判所に提出する必要があります。
その際、裁判に関する専門知識も必要になりますので、弁護士に依頼せずに訴訟手続きを行った場合は、結果として夫側の主張立証が不十分になり、夫側に不利な判決が出される可能性が高くなります。
そのため、離婚訴訟は調停以上に弁護士への依頼が必要不可欠ですので、離婚訴訟の提起をお考えの場合は、必ず弁護士にご相談ください。
以上のとおり、モラハラ妻との離婚を自分一人で実現しようとしても困難な場合が多いです。
モラハラ妻との離婚をお考えの方は、離婚専門の法律事務所である当事務所に一度ご相談ください。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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