裁判離婚での弁護士の役割
当事者同士の話し合いや家庭裁判所の仲介による調停でも離婚交渉がまとまらない場合、裁判を起こして離婚を争うことになります。
離婚裁判は民事裁判なので当事者本人のみの力で裁判を進めることもできますが、裁判は専門的な手続きも多く法律知識によほど詳しくなければ個人の力で争うのは非常に困難です。もし離婚問題が裁判に持ち込まれるのであれば、法律の専門家である弁護士の力を借りるのが懸命です。
弁護士に相談すれば、離婚裁判を起こすことの是非についても意見を聞くことができます。夫婦関係の状況や証拠を見て勝つ見込みがあるかどうか専門家の目から見て判断してもらえますし、勝つ見込みが無ければ裁判以外の選択肢を提案してくれることもあります。相手に請求する慰謝料や養育費に関しても相場と照らし合わせて妥当な金額を提案してもらえますから、より有利な条件を離婚を成立しやすくなるでしょう。
離婚裁判では協議や調停とは異なり、お互いの言い分や感情的なことよりも法律的な争いが問題が全面に出て離婚について争われます。法的な主張というのは一般的な話し合いとは異なる部分も多く、事実関係の整理や認識、具体的な証拠の提出など裁判独自の手続きが必要になってきます。これらの手続きを法知識のない素人が進めるのは大変困難ですし、あいまいな知識でやろうとすれば自分に不利な状況を作ってしまいかねません。証拠を集めるにしても素人が弁護士が動くのでは証拠集めの精度も信頼性も大きく変わってきますから、弁護士の力を借りたほうがより確実に準備を整えて裁判に臨むことができるでしょう。
より有利な条件を勝ち取るためには、弁護士の協力が必要不可欠です。裁判ではそれぞれが自分の正当性を主張することになりますが、弁護士が法的な論理整合性を持たせて正当性を主張するのと素人が主張するのでは主張の信頼性が大きく異なります。弁護士を付けることでより多額の慰謝料や養育費を勝ち取れる確率が高まり、一方的に不利な財産分与を強いられることも防げます。
こどもがいる場合は、親権の確保や面会交流権など争う項目が増えることになります。特に真剣に関しては日本では母親が絶対的に有利な立場にあり、父親が親権を認められるのは非常に困難です。どうしても親権を父親側が勝ち取りたいのであれば、弁護士の協力は必要不可欠のものになります。弁護士と協力して裁判戦略を立てて正当性や妥当性を主張することで親権を勝ち取れる可能性がありますから、弁護士はより重要な役割を担うことになります。
仕事をしながら離婚裁判を争う場合、裁判準備に時間を割くことが出来ず十分な準備を整えること自体が難しくなってしまいます。有利な条件を勝ち取れる見込みがあるのに準備不足で不利な判決を出されてしまっては、後で悔やんでも悔やみきれるものではありません。弁護士を立てておけば裁判準備の大部分は代行してもらえます。必要な書類の作成から裁判所との連絡、証拠・証言集めや事実関係の整理など必要な作業はほぼすべて代行してもらえますから、仕事と並行しながら裁判準備を進めることが可能になります。
こちらが弁護士を立てなかったとしても、相手が弁護士を立ててくる可能性は十分考えられます。もしこちらが弁護士を立てず相手側のみが弁護士を立ててきた場合、裁判のプロである弁護士相手に素人が争う羽目になってしまいます。弁護士を相手に裁判の場で争って勝つのはほぼ不可能といっていいほどの難易度です。一方だけが弁護士を立てた時点で裁判の行方はほぼ決まってしまいますから、相手側に一方的に有利な判決を避ける意味でも弁護士を立てておく方が安心です。
弁護士に離婚裁判を依頼をすれば当然費用が掛かってしまいます。離婚裁判を依頼した場合に弁護士にかかる費用の相場は50~100万円程度です。安い金額ではありませんが弁護士に依頼することでより高額の慰謝料や養育費を勝ち取れる確率は高まりますし、たとえ裁判に負けたとしてもマイナスを最小限に止められますから決して費用は無駄にはなりません。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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